臨床試験における母集団と標本

臨床試験での母集団

母集団と標本という用語については、ひとつ前のページで解説しました。では、臨床試験において母集団とは何を指すでしょうか?母集団の定義から考えると自明なことですが、例えば開発したい薬が、高血圧の薬であるとします。その場合、母集団というのは、高血圧の患者さん全員になります。
この時に、母集団は日本の患者なのか世界中の患者なのか、といった疑問もあると思います。その回答としては、その薬剤開発の目的によって変わる、ということです。例えばその薬剤が日本国内だけで開発している薬であれば、日本の患者さんが母集団になります。一方、グローバル開発をしたいということであれば、世界中の患者が母集団ということになります。

 

臨床試験での標本

では、臨床試験における標本は何になるのでしょうか?それは、臨床試験に参加してくださる患者さん、が標本ということになります。その開発候補の薬が糖尿病を対象としているのであれば、臨床試験に参加してくださる糖尿病の患者さんが標本になりますし、抗がん剤であれば、臨床試験に参加してくださるがん患者さんが標本になります。

 

臨床試験の最終的な目標

統計学の最終的な目標を思い出せますでしょうか?それは、標本のデータから母集団を推定すること、でした。これは臨床試験にもそのまま当てはまることです。つまり製薬会社が臨床試験を実施する最終的な目標とは、臨床試験に参加してくださった患者さん(標本)のデータで、全ての患者さん(母集団)の薬の有効性と安全性を推定すること、にあるのです。

 

論文の読み方が変わる

ここを意識すると、臨床試験の見方がすごく変わります。例えば、ある臨床試験の論文を読んだときに、結果だけ確認する方が多いかもしれません。そして、論文に良い結果が出ているからその薬剤は有望なんだな、と思います。ですが、この「母集団と標本」という考え方が分かっている方が論文を読むと、必ず「どういった患者さんがその臨床試験に入っているか」という背景情報を正しく読み取ろうとします。なぜそんなことをするかというと、この結果から、すべての患者に効く薬なのか、ということを確認しているのです。ご想像の通り、標本の選び方は何通りもあるわけですから、この臨床試験に入った患者がどういった標本なのか?を意識することがとても重要になるのです。



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