第II相試験での統計学の役割

試験計画時の役割

第II相試験からは、統計の役割が大きくなります。それは、第I相試験よりも試験デザインがより複雑になり、より自由度が高くなるため、科学的妥当、かつ、効率的に実施するにはどうすればよいか?ということも考えていく必要があるからです。これは試験を計画する段階から必要になります。

 

まずは、症例数を設計する必要があります。第II相試験は検証的試験ではないため、αエラーやβエラーを厳密にコントロールする必要はありませんが、症例数は統計学的な仮説に基づいて設計することをお勧めします。そして、第II相試験は用量反応性を確認することが多いと思いますので、群が多くなります。その際に、統計的検定をそのまま実施すると、多重性の問題が生じてきます。そのため、多重性をコントロールするにはどういう手順にするか?ということも決めておきます。

 

層別因子を決めることも重要です。層別因子とは、主要評価項目に影響を及ぼすと考えられる、背景情報のことです。詳しくは別のページで解説しますが、この背景情報が群間で偏っている場合には、結果が薬剤によってもたらされたものなのか、それとも背景情報の違いによってもたらされたものなのか、の区別がつかなくなるためです。

 

また、中間解析を実施するかどうかなども検討する必要があります。現在は、臨床試験を効率的に実施するために様々な試験デザインが提案されてきています。その最たるものが、中間解析を利用した試験です。中間解析にはその性質によって、様々な用途として使うことが出来ます。中間解析についても、また別ページで解説します。

 

そして、とても重要なのが、データをどう取るか?ということを考えることです。試験の計画が決まれば、どのような結論に持っていきたいかということまで考えることが出来ます。そして、その結論に持っていくにはどのようなデータを取る必要があるか?を考えることが出来るということです。これが考えれれれば、あとはデータを取得するためのフォーム(CRF;Case Report Form)を設計していくことが可能になります。CRFの設計は、ダイレクトにデータ解析の効率に関係していきますので、ぜひとも統計解析担当者と議論しながら作成したいところです。

 

試験中の役割

第II相試験も、何か倫理的な問題がない限りダブルブラインド試験にすることが多いです。また、統計学的な仮説に基づいた症例数ということは、試験後には統計的検定を実施することになります。そのため、ブラインド下でデータを確認し、主要評価項目に対する解析は計画した通りで本当に大丈夫か?第I相試験では確認できなかった、主要評価項目に影響を及ぼすさらなる背景情報はないか?などを検討します。これをブラインドレビューと呼びます。

 

そして、全てのデータが準備完了する前までに、解析計画書を作成する必要があります。解析計画書はブラインドレビューの結果を踏まえてデータの固定前、もしくは開鍵前前までに最終化する必要があります。

 

試験後の役割

試験後には、解析計画書に準じて解析を実施することが重要です。そして、解析計画書で計画した解析が一通り出そろったところで、この試験の結果を解釈するのに追加すべき解析はないか?を考えます。解析計画書をデータの固定前、もしくは開鍵前前までに最終化するということは、そのあとに追加解析を実施してはいけないのではないか?という疑問もあるかもしれませんが、追加解析は許されています。ただ、その結果の取り扱いには注意が必要です。例えば、追加解析として検定をすることは許されません。主要な結果はあくまでも事前に計画された結果しか主張することが出来ません。その結果をサポートするための解析という位置づけであれば、追加解析が許されるということです。

 

終わりに

第II相試験は試験が複雑になるため、試験計画時から統計解析担当者に担ってもらう役割が大きくなります。また、試験中や試験後の役割も当然大きくなります。また、第II相試験は探索的な性質も持ち合わせているため、試験デザインの自由度が大きくなります。そのような状況でも、試験目的を達成することができ、かつ、科学的に妥当で効率的な試験をするにはどうするか?といったアイデアを統計解析担当者は持っています。そのため、細かいことでも相談していくことがいいと思います。



data-ad-client="ca-pub-8866234902868600"
data-ad-slot="5243035170"
data-ad-format="auto">



HOME プロフィール お問い合わせ