臨床試験で多重性が起こりうる状況

統計で誰もが直面する問題といえば、検定の多重性の問題です。

医薬品開発でも、多重性を考慮することがとても大切です。

そんな多重性の問題が臨床試験で起こりうる状況を整理してみましょう。

 

 

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どんな状況であれ,検定を2回以上実施すれば多重性は起こる

多重性は,複数回の検定(2回以上の検定)を実施する際に起こる問題です。

なぜ2回以上検定をすると問題なのか。

それは、試験全体としてαエラーが大きくなってしまうからです。

統計的検定が有意水準を5%として設定していることは、誰もが知っていますよね。

そのαエラーが5%を超えてしまうということは、とても重大な問題であると認識できるかと思います。

 

それでは,臨床試験ではどのような状況で多重性の問題が出てくるでしょうか?

具体的には以下の3つの状況が考えられます。

 

  1. 主要エンドポイントが2つ以上ある場合
  2. 比較する群が複数ある場合
  3. 解析する時点が複数ある場合

 

どう言う状況か、もう少し考えてみましょう。

 

主要エンドポイントが複数ある場合

これは一番イメージしやすい状況かもしれません。

主要エンドポイントを複数設定し,そのうち「どれか一つでも達成」すれば試験の目的を達成する。

そんな状況であれば,多重性の問題が発生します。

 

例えば,アトピー性皮膚炎という疾患があります。

この疾患は,皮膚炎とかゆみの2つの特徴を持つ疾患です。

その時,主要エンドポイントを「皮膚炎の改善」と「かゆみの改善」の2つにしたとします。

皮膚炎だけが改善すればアトピー性皮膚炎の薬として申請し,かゆみだけが改善すればアトピー性皮膚炎に伴うかゆみの改善薬として申請する。

という戦略を取るのであれば,どっちかのエンドポイントで達成できなくても、申請ができる。

これではいいとこ取りになりますよね。

つまり、多重性の問題があると言うことになります。

 

比較する群が複数ある場合

この状況も,多重性の問題が出てきます。

例えば,Phase II試験までに用量を決めきれずに,低用量と高用量の2つの実薬群とプラセボ群,計3群でPhase III試験を実施したとします。

すると,その結果の比較は「プラセボ群vs低用量群」「プラセボ群vs高用量群」の2つの比較をすることになります。

その際に,どちらか一方でも有意になればその用量で申請するという戦略にしている場合,この時にも多重性の問題が出てきます。

 

解析する時点が複数ある場合

この状況は,あまりなじみのない方もいるかもしれません。

これは例えば,中間解析を実施する場合です。

つまり,1年間の試験の場合に,半年時点で一回解析を計画するような場合です。

その時,半年時点もしくは1年時点のいずれかの結果が有意であれば試験の目的を達成するといった場合に,これも多重性の問題が出て来ます。

また,中間解析ではなくとも,経時的にデータを取得し,いずれかの時点で有意かどうかを判定する際にも,多重性の問題が発生します。

 

複数検定する場合でも,多重性の問題が出ない状況

複数の検定を実施する場合でも,多重性の問題が出てこない状況があります。

それは「複数の検定全てで有意になる場合に目的を達成する」場合です。

つまり,二つの主要エンドポイントがあった時に,どちらか一方が有意になれば試験の目的を達成する場合には多重性の問題が出て来ますが,どちらも有意にならない限り試験の目的を達成しない,というような場合には多重性の問題が出てきません。

さいころの例だと,2回投げた時に,どちらか1回でも6が出る確率というのが多重性の問題が発生する状況ですが,2回とも6が出る確率というのは1回よりも厳しくなります。

そのため,αエラーという観点では,「どちらか一方をいいとこ取りする」という状況でなければ多重性の問題が発生しないのです。

 

まとめ

多重性の問題は,とにかく複数の検定を実施して「どちらか一方が有意になった場合に試験の目的を達成する」という場合に生じる。

 

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