深夜の時間帯に良く見かける,健康器具や痩せるための器具の通販番組。
実際に買ってみたり,買おうかな?と心動かされるような器具があったりしますね。
でも,通販の器具で痩せることが出来た人は実際には何人いるのでしょうか?
実際にあなたの周りで、通販器具で痩せた人はいますか?
通販番組で集計データが用いられないのはなぜ?
通販番組の定番の構成は,モニターを5人程度登場します。
その人たちが、実際に器具を「使う前」と「使った後」の変化を,実際の映像を交えてアピールしています。
その中には、1カ月で5キロやせた人や,ウエストが10センチ細くなったという人が出てきますね。
そうすると、「私でも痩せることが出来るんではないか」という気持ちが湧いてきます。
その気持ち、すごく分かります。
でも、その気持ちに正直になって通販器具を購入しても、なぜか痩せない。。
じゃあ通販番組に出てくるモニターさんの前後の変化は嘘なのか?
というと、恐らく本物だと思います。
番組で嘘はついていないと思います。
しかしながら,ここで疑問を持ってもらいたいのです。
どこに疑問?というと、ここ。
モニターさんは5人程度である一方で,「売上XX万個突破!!」なんていう宣伝。
なぜ疑問を持ってもらいたいか。
例えば、売り上げ個数が1万個だったとします。
すると、なぜ集計結果が番組ではアピールされないのでしょうか?
器具を売り上げた全員の体重を収集できないのは分かります。
ですが,1%でも匿名でアンケートを収集できれば100人分のデータが集められます。
それを集計したデータでアピールしたほうがとても説得力がありますがそれをしないのはなぜでしょうか?
テレビに出ているモニターさん達の心理を読み取ってみる
テレビで実際にその器具を使ったモニターさん。
先ほども述べた通り,体重やウエストの変化は本物だと思います。
しかし、そのモニターさんの心理を考えてみましょう。
もしあなたがモニターの一人になったとしたら,どう思いながら参加するでしょうか?
状況としては,テレビでその前後の体重やウエストの数字が日本中に放送されるのです。
また引っ込み思案な日本人ですが,そうやって日本中に放送されてでも,痩せたいと思っているのです。
そうなったとき,どういう心理でその器具のモニターになるでしょうか?
ちょっとだけモニターさんの意識を整理しましょう。
- モニターになるということは,日本中でそのやせ具合を放送される。痩せないと,ただ醜態をさらしてしまうだけ,という意識がある。
- そのやせ具合を放送されるのを許容してまでも,痩せたい!という強い意識がある。
どうですか。
このような意識があった時に,誰でも努力するとは思いませんか?
その器具じゃなくても,モニターになった時点で痩せる要素が実は備わっている可能性があるのではないでしょうか?
実はその器具を使う以外にも,「絶対痩せなければ!」という意識から,もしかしたら隠れて食事制限とかしているかもしれません。
専門的な用語でいうと、「選択バイアス」がかかっている可能性があるのです。
選択バイアスに関しては、こちらに詳細に解説していますので、ご覧ください。
比較しなければわからない
上記のように、通販番組のモニターさんはその器具の効果だけではなく、モニターになることで意識が改善され、その結果痩せた可能性があるのです。
実際の臨床試験でもそのようなことは多々あります。
臨床試験ではよくプラセボという、見た目は薬と全く一緒だが、薬効成分が入っていないものを使って、それに比べて新しい薬は効果があるか?ということを検証します。
実はこのプラセボというのは侮れません。
一般的に「プラセボ効果」と呼ばれるような、通販のモニターのような効果が表れることがあります。つまり、薬効成分が全く入っていないのに、効いてしまうのです。
そのため、我々は何かその効果を主張する際には、それが比較の結果であるか?ということを意識する必要があります。
何かと比較した結果であれば、多少は信じても良い結果であると考えてよいと思います。
まとめ
健康器具で痩せたモニターは、その器具で本当に痩せたのか、痩せる環境にさらされたことで痩せたのかが分からない。
信用できるのは、比較した結果である。