他にも臨床試験はないの?特殊な例の臨床試験を紹介します。

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製造販売後臨床試験の概要

製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)とは,読んで字のごとく,薬剤が販売された後に実施する試験です。
販売されたのに,今更なにを試験するの?と思う方もいらっしゃると思いますが,実はこの試験が薬剤の売り上げを左右することになる可能性があります
まずは定義を見てみます。

製造販売後臨床試験とは,「製造販売後調査等のうち、製造販売業者等が、治験若しくは使用成績調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し、又は診療においては得られない品質、有効性及び安全性に関する情報を収集するため、当該医薬品について承認された効能・効果及び用法・用量に従い行う(臨床)試験」

さっぱり分からないですね。
本当にお役所の文章は難しい言葉が多くて困ります。

製造販売後臨床試験を行う目的

定義から考えるより「なぜ企業が製造販売後臨床試験を行うか?」という目的から考えてみましょう。
結論から言いますと,製造販売後臨床試験を行う目的は「その薬剤に付加価値を与える情報を得る」ということです。
どういうことかを,風邪薬の例を用いて解説してみます。

風邪薬での製造販売後臨床試験の例

風邪薬は複数の会社から多くの種類が出ています。
その際に,自分たちの薬剤をどのように他社の薬剤と差別化できるでしょうか?
それはやはり,付加価値のあるデータを取る,ということです。
風邪薬であれば,風邪を早く治せると証明できれば,販売の承認を得ることが出来ます。
しかし患者さん目線で考えた時に,同じような有効性がある2つの薬剤に関して,「眠くなりにくい風邪薬」と「眠気が必ず起こる風邪薬」では,どちらを選ぶでしょうか?
90%ぐらいの患者さんが「眠くなりにくい風邪薬」を選ぶのではないかと思います。
ただし治験では,眠くなりにくいということを証明したとしても,風邪が治らなければ風邪薬として承認されません
そのため,治験ではちゃんと風邪薬としての有効性を証明し,製造販売後臨床試験で差別化ポイント(この例では眠気)のデータを取得していくのです。

製造販売後臨床試験での制約

製造販売後臨床試験は治験と違って,制約があります。
それは,承認された患者集団にしか投与できず,かつ承認された用法用量でしか投与が出来ないということです。
つまり,風邪薬の製版後臨床試験であれば,風邪をひいていない人で試験は出来ず,1日3回1錠の用法用量で承認されているのであれば,その用法用量から変更してはいけません。

製造販売後臨床試験で得たデータはどう使われるか?

冒頭で,製造販売後臨床試験が薬剤の売り上げを左右することになる可能性があります,と書きました。
この試験のデータによってその疾患の治療ガイドラインの位置付けが変わることがあり,他の薬剤との差別化につながるためです。
また,製造販売後臨床試験で得たデータを基に新たな適用拡大に向けた治験を開始することも,十分に考えられることです。

製造販売後臨床試験のまとめ

製造販売後臨床試験で得たデータは,その薬剤に付加価値を提供し,その結果他剤との差別化につながる。

希少疾患での臨床試験の概要

通常の新薬開発は、第I相試験、第II相試験、第III相試験と、順番に試験を実施する必要があります。
しかし、希少疾患に対する新薬を開発する場合には、その限りではありません。
なぜなら十分な臨床試験を実施するには、疾患を持つ症例数がある程度必要だからです。
ちなみに希少疾患とは、日本の定義では
「対象患者数が本邦において5万人未満であること」
とされています。

「証明」するには症例数が必要になる

このサイトを順々に学んでいくとわかるのですが、統計学的に新薬の効果を「証明する」ためには、試験に参加する症例数がある程度必要になります。
そのため、希少疾患の場合には、通常の臨床試験の順番とは異なる方法で実施する場合もあります。

第I相試験は必須

どれだけ症例数が少ない疾患であっても、第I相試験は必須です。
それまでに非臨床(動物)でのデータがあるにしろ、人に初めて投与するわけですから、ちゃんと被験者の安全を確保できる体制で試験を実施する必要があります。
そのため、まずは少数例(健康成人か患者かは、戦略で異なる)でで安全性を確認することが重要になります。
その上で、どのような戦略で新薬を申請していくのかを考える必要があります。

希少疾患の場合の開発例

希少疾患の場合には、その疾患と薬剤の効果によって申請するまでに辿るステップが異なります。

  • 第I相試験のみで申請する。
  • 第I相試験と第II相試験のみで申請する。
  • 第I相試験と第III相試験のみで申請する。

この手順に関しては、どうなればどういう戦略になるか、というのはありません。
結局何が重要なのかというと、薬を審査する「当局」と相談の上、決定する必要があります。
日本での当局は、医薬品医療機器総合機構(通称、PMDA)になります。
そのため、PMDAに治験相談をして、両社で合意した手順で申請するということです。

承認されても宿題が出る

通常の臨床試験を省略して申請するわけですから、他の薬に比べると、その薬のデータは足りないわけです。
そのため、承認と引き換えに、当局から宿題が出ることがほとんどです。
それは「市販後に投与された被験者全員の安全性情報を取って、提出すること」という宿題です。
「市販後調査」と呼ばれます。

 

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