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R で罹患率比を求める方法

罹患率比の計算は、どうやるのか?

R での計算の方法。

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目次

罹患・罹患率・罹患率比とは?

罹患(りかん)とは?

罹患とは病気にかかること。

病気にかかったことは、診断によってわかる場合と、発症によってわかる場合がある。

診断とは、外来の診察で下される場合や、血液検査の結果や、CTやMRIの結果で判断される場合などがある。

発症とは症状が出ること。

冷や汗が出るほど胸痛が起きて数十分続いたとか、ろれつが回らなくなり、手足が麻痺したとか。

罹患率とは?

率は速さを言う。

ある人が何年間かのうちに罹患したという情報を集めて集計する。

$$ \frac{罹患人数}{全体人数 \times 一人ひとりの観察年数} $$

と計算する。

分母は人年(じんねん or にんねん)。

研究タイプが「観察」研究なので、観察人年と呼ばれる。

罹患率比とは?

それでは、罹患率比とは?

罹患率比は、罹患率の比のこと。

例えば、生活習慣Aを持っているグループと生活習慣Aを持っていないグループの比をとる、ということ。

罹患率比は何のために計算するのか?

罹患率比は、生活習慣Aを持っているグループが生活習慣Aを持っていないグループに比べて、どのくらい罹患しやすいかの指標になるから。

生活習慣Aを持っているグループが罹患率10だとして、生活習慣Aを持っていないグループが罹患率5だとすると、10÷5で罹患率比は2。

罹患率比2の意味は、「生活習慣Aを持っているグループは、生活習慣Aを持っていないグループに比べて、2倍罹患しやすい」。

この結果からは、「もし生活習慣Aを持っている人が、生活習慣Aをやめたら、罹患しやすさが半分になるかもしれない」と解釈できる。

罹患率比は、生活習慣Aなど、罹患を規定している要因を見つけて、比の大きさ=その要因の関連性の強さから、対策をとる重要なリスクファクターかどうかを見極めるために有用な指標なのだ。

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Rで罹患率比はどうやって計算するのか?

Rでは、epitoolsパッケージのrateratio()を使って、簡単に計算することができる。

まず最初一回だけパッケージのインストール。

install.packages("epitools")

epitoolsパッケージを呼び出す。

library(epitools)

ある要因への曝露なしグループの罹患人数が15人、

ある要因への曝露ありグループの罹患人数が41人、

曝露なしグループの観察人年が19017人年、

曝露ありグループの観察人年が28010人年。

bc <- c(Unexposed = 15, Exposed = 41)
pyears <- c(Unexposed = 19017, Exposed = 28010)
dd <- matrix(c(41,15,28010,19017),2,2)
dimnames(dd) <- list(Exposure=c("Yes","No"), Outcome=c("BC","PYears"))

計算結果は以下のとおり。

> dd
Outcome
Exposure BC PYears
Yes 41  28010
No  15  19017

罹患率比の計算をする。

rateratio(bc,pyears)

結果は以下のように出力される。

> rateratio(bc,pyears)
$data
          bc pyears
Unexposed 15  19017
Exposed   41  28010
Total     56  47027

$measure
                        NA
rate ratio with 95% C.I. estimate    lower    upper
               Unexposed 1.000000       NA       NA
               Exposed   1.842977 1.041036 3.449052

$p.value
           Outcome
Predictor   midp.exact       wald
  Unexposed         NA         NA
  Exposed   0.03545742 0.03736289

attr(,"method")
[1] "Median unbiased estimate & mid-p exact CI"

罹患率比は1.842977と計算される。

曝露ありグループは、曝露なしグループの1.8倍罹患しやすいという結果。

罹患率比は、点推定値でもある。

区間推定すると、95% 信頼区間は、1.041036 から 3.449052 という区間で推定される。

ちなみに、95%信頼区間の意味合いは、今回と同じような区間推定を100回行った時に、95回は、母集団の点推定値を含んでいる区間のことである。

95%信頼区間の下限が、1を超えているので、罹患率比 1.842977 は統計学的有意に、1 とは異なると言える。

p値も0.03545742と、0.05未満で、統計学的有意と言える。

まとめ

罹患とは、病気にかかること。

罹患率とは、観察人年で罹患人数を割った、罹患しやすさ(速度)のこと。

罹患率比とは、罹患率同士の比で、ある要因ありの要因なしに対する相対的な罹患しやすさのこと。

Rではepitoolsパッケージを使って罹患率比が計算できる。

参考になれば。

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  • データさえあれば解析でどうにかなる、という考え方は間違い
  • 何を明らかにしたいのか? という研究目的が重要
  • 研究目的は4種類に分けられる
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この記事を書いた人

統計 ER ブログ執筆者

元疫学研究者

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