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R でマッチドケースコントロール研究に必要なサンプルサイズを計算する方法

マッチドケースコントロール研究のサンプルサイズ計算の方法

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目次

マッチドケースコントロール研究とは?

年齢、性別、など、病気に深くかかわっている因子だけど、研究対象にしたいわけでないとき、影響をなくしてしまいたい。

ケースとコントロールの重要な因子を合わせて、ケースとコントロールを選ぶというデザインが、マッチドケースコントロール研究だ。

マッチドケースコントロール研究のサンプルサイズ計算スクリプト

  • p0: コントロールの曝露割合
  • rr: 想定されるオッズ比
  • ctrl: ケースに対するコントロールの人数

とすると、R では以下のようにスクリプトが書ける。

sample.size.matched.ccs <- function(p0, rr, sig.level=.05, power=.8, ctrl=1){
za <- qnorm(1-sig.level/2)
zb <- qnorm(power)
p <- rr/(1+rr)
m <- (za/2 + zb*sqrt(p*(1-p)))**2/(p-1/2)**2
p1 <- p0*rr/(1+p0*(rr-1))
q0 <- 1-p0
q1 <- 1-p1
pe <- p0*q1+p1*q0
pair <- (ctrl+1)*(m/pe)/(2*ctrl)
METHOD <- "Matched Case Control Study Sample Size Calculation"
structure(list("Matched pairs"=ceiling(pair), "Ctrl:Case ratio"=ctrl, "Number of cases"=ceiling(pair), "Number of ctrls"=ceiling(pair)*ctrl, "Total number of sbjcts"=ceiling(pair) + ceiling(pair)*ctrl, "Prop exposed in controls"=p0, "Assumed Odds Ratio"=rr, sig.level=sig.level, power=power, method=METHOD), class="power.htest")
}

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マッチドケースコントロール研究のサンプルサイズ計算例

コントロールの曝露割合が0.3、オッズ比が2、検出力が90%とすると、
187ペアが必要と計算される。

>  sample.size.matched.ccs(p0=.3, rr=2, power=.9)
Matched Case Control Study Sample Size Calculation
Matched pairs = 187
Ctrl:Case ratio = 1
Number of cases = 187
Number of ctrls = 187
Total number of sbjcts = 374
Prop exposed in controls = 0.3
Assumed Odds Ratio = 2
sig.level = 0.05
power = 0.9

もしコントロールを2例とるとすると、必要ペア数は140ペアに減る。

しかし全体のサンプルサイズは374から420に増加する。

ケースがどうしても集まりにくいならしかたないが、サンプルサイズ全体を考えたら、1:1のほうが効率がいい。

> sample.size.matched.ccs(p0=.3, rr=2, power=.9, ctrl=2)
Matched Case Control Study Sample Size Calculation
Matched pairs = 140
Ctrl:Case ratio = 2
Number of cases = 140
Number of ctrls = 280
Total number of sbjcts = 420
Prop exposed in controls = 0.3
Assumed Odds Ratio = 2
sig.level = 0.05
power = 0.9

違う条件で、例えば、コントロールの曝露が50%、オッズ比2、検出力80%、ケースとコントロールの比が1:1とすると、137ペア、274症例集めればいい。

> sample.size.matched.ccs(p0=0.5, rr=2)
Matched Case Control Study Sample Size Calculation
Matched pairs = 137
Ctrl:Case ratio = 1
Number of cases = 137
Number of ctrls = 137
Total number of sbjcts = 274
Prop exposed in controls = 0.5
Assumed Odds Ratio = 2
sig.level = 0.05
power = 0.8

ケースとコントロールの比を1:2としても、ケースは103例必要でそれほど節約できず、全体の必要対象者数は309例に増加する。

必要ケースは34例少なくなる。

全体必要対象者数は35例増える。

> sample.size.matched.ccs(p0=0.5, rr=2, ctrl=2)
Matched Case Control Study Sample Size Calculation
Matched pairs = 103
Ctrl:Case ratio = 2
Number of cases = 103
Number of ctrls = 206
Total number of sbjcts = 309
Prop exposed in controls = 0.5
Assumed Odds Ratio = 2
sig.level = 0.05
power = 0.8

1:3にすると、ケースが91例必要で、全体の必要症例数はさらに364例に増加する。

1:1と比べると必要ケースは46例減るが、全体は90例増える。

コントロール対ケースの比を上げても、あまり得策でないことがわかる。

> sample.size.matched.ccs(p0=0.5, rr=2, ctrl=3)
Matched Case Control Study Sample Size Calculation
Matched pairs = 91
Ctrl:Case ratio = 3
Number of cases = 91
Number of ctrls = 273
Total number of sbjcts = 364
Prop exposed in controls = 0.5
Assumed Odds Ratio = 2
sig.level = 0.05
power = 0.8

マッチドケースコントロール研究のサンプルサイズ計算をエクセルで

エクセルで計算できるようにしてみた。

よかったらどうぞ。

【疫学】マッチドケースコントロール研究 サンプルサイズ計算 【エクセルでサンプルサイズ】 | TKER SHOP

使い方動画をアップロードした。

こちらもよければ。

まとめ

マッチドケースコントロール研究は、研究対象にはしないが、どうしても外せない要因をマッチして、最初から無効化してしまう点で効率がいい。

必要ケース例数を抑えたくて、1:n のデザインを考えても、必要ケース例数が減った分を上回るほど余分に必要になり、むしろ全体のサンプルサイズが大きくなり、効率は悪くなる。

1:1デザインで、頑張ってケースを集めるのが、一番効率がいい。

参考書籍

Schlesselman JJ, Case-Control Studies, Oxford University Press, Oxford NY, 1982
6.6 Sample size and power for pair-matched studies pp.160-162

Case Control Studies: Design, Conduct, Analysis (Monographs in Epidemiology and Biostatistics)
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  • どうにかして標本平均を母平均に近づけられないか?
第2章:研究目的をどれだけ明確にできるのかが重要
  • データさえあれば解析でどうにかなる、という考え方は間違い
  • 何を明らかにしたいのか? という研究目的が重要
  • 研究目的は4種類に分けられる
  • 統計専門家に相談する上でも研究目的とPICOを明確化しておく
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この記事を書いた人

統計 ER ブログ執筆者

元疫学研究者

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