IPTWにおける極端な重みのTruncation処理について
逆確率重み(IPTW)は、観察研究における交絡の調整手法として広く用いられているが、重みが極端な値をとる場合、推定量の分散が著しく増加し、結果が不安定になることがある
そのため、極端な重みに対して Truncation(切り捨て)を行うことが一般的に推奨されている
Truncation の閾値については、Cole & Hernán (Am J Epidemiol 2008;168:656–664) で、異なる閾値でTruncationを比較し、1st と 99th が示唆された
その結果、Bolch et al. (BMC Medical Research Methodology 2017;17:93) 、Chesnaye et al. (Clinical Kidney Journal 2022;15(1):14-20) などで、極端な重みを排除する目的で99パーセンタイルでのTruncationが実施されている
この「Truncation」は Winsorization(端値の置き換え)とは異なり、閾値を超える重みを削除する(または一定値に切り捨てる)点に注意が必要である
R による解析
R による実装でも、この操作を明示的に行うことが可能である
たとえば WeightIt
パッケージ等で作成されたweightedデータセットに対して、以下のように trim()
関数を用いて99パーセンタイルでTruncationを行うことができる
trimmed.datasets <- trim(weighted.datasets, at = 0.99)
ここでの at = 0.99
は、重みの上位1%をTruncateする設定に対応している
必要に応じて下位1%も同時にTruncateする場合は、at = c(0.01, 0.99)
のように指定する
どの程度のTruncationが適切であるかは、重みの分布や研究目的に応じて検討する必要がある
まとめ
IPTW における極端な重みは、結果の安定性のために、1st 及び 99th パーセンタイルで、切り捨て(truncate)が行われることがある
R では、WeightIt パッケージの trim 関数を使って実行できる
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