共分散構造分析は、構造方程式モデリング SEM とも呼ばれる、変数間の相関を元に、想定する概念モデルにデータが当てはまっているか、変数同士の関連性は強いのか弱いのか、ということを検討する手法である
具体的な事例が掲載されている論文および実践するための参考書籍を列挙する
共分散構造分析の論文例
看護分野
新卒看護師の社会人基礎力・倫理的行動とリアリティショックとの関連
先行研究から導き出された社会人基礎力,倫理的行動,リアリティショックの関係仮説を検証するために,社会人基礎力,倫理的行動,リアリティショックを潜在変数として初期モデルを作成し,共分散構造分析を行った.なお,結果を図1に示す.(中略)修正モデルの結果を図2に示す.修正モデルの適合度は,CFIは.887とやや低い値となったが,GFI = .904,AGFI = .854,RMSEA = .096であった.つまり,このモデルは,高い適合度を示すとは言い難いものの,新卒看護師の社会人基礎力および倫理的行動とリアリティショックの関係を検討するモデルとして許容される結果であった.
共分散構造分析による,適合度指数の結果は図1に示した.各因子から観測変数へのパス係数は0.65~0.87の範囲であり,5%水準で有意であった(図1).基準関連妥当性は,LBS-VNM合計得点とLMX-7合計得点の相関はr = .834(p < .01)で正の相関が認められた(表4).
産業保健分野
医療機関における放射線業務従事者の被ばく線量管理の課題 ―放射線マネジメントシステム導入支援事業参加機関へのアンケート調査―
放射線管理体制5項目について,相互関係を明らかにするためにパス解析を行い,その結果を図2に示した.図中の各矢印は要因間の因果関係を示し,数値は標準化パス係数を表している.方針や指針の明示の有無は,被ばく管理組織の設置の有無に最も強い影響をもつこと,監査の仕組みの有無に正の影響を与え,監査の仕組みの有無を通じて被ばく管理組織の有無にも影響していることが示された.文書レビューの有無は,監査の仕組みの有無に正の影響を持つが,被ばく管理組織の有無への直接的な影響は弱いことが示された.OSHMSの導入の有無は,どの項目に対しても与える影響は小さいことが示された.これらから,放射線管理体制の構築およびその維持改善には,方針や指針の明示および監査の仕組みを整備し,そのうえで被ばく管理組織の設置を推進することが効果的であるとことが示された.
コメント