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R で NNH Number Needed to Harm を計算する方法

有害必要数(Number Needed to Harm, NNH)は、1人の有害事象が起こる人が出現するのに、何かの影響を受けた人が何人必要かという数。

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目次

NNHを計算するにはどうやるか?

使えるシチュエーションは、

  • 曝露Aを受ける人受けない人
  • 処置Bを受ける人受けない人
  • 介入Cを受ける人受けない人

などなど。

R で計算するなら、以下の自作の関数を使って計算できる。

riskdiff.confint <- function(r1,n1,r2,n2,sig.level=.05,side=2){
p1 <- r1/n1
p2 <- r2/n2
diff <- p1 - p2
se <- sqrt(p1*(1-p1)/n1 + p2*(1-p2)/n2)
LL <- diff - qnorm(sig.level/side, lower.tail=FALSE)*se
UL <- diff + qnorm(sig.level/side, lower.tail=FALSE)*se
NNH <- 1/diff
NNH.LL <- 1/UL
NNH.UL <- 1/LL
c(round(c(Prop.G1=p1,Prop.G2=p2,Difference=diff,LL.95CI=LL,UL.95CI=UL)*100,1),round(c(NNH=NNH,NNH.LL=NNH.LL,NNH.UL=NNH.UL),0))
}

必要な情報をインプットしたら、答えが出る。

グループ1の分母が532人、そのうちイベントが起きた、すなわち分子が11人、

グループ2の分母が933人、そのうちイベントが起きた、すなわち分子が3人

riskdiff.confint(r1=11,n1=532,r2=3,n2=933)

計算結果は、以下の通り。

  • Prop.G1:グループ1の発現割合
  • Prop.G2:グループ2の発現割合
  • Difference:グループ1と2の発現割合の差
  • LL.95CI:発現割合の差の95%信頼区間(CI)下限
  • UL.95CI:発現割合の差の95%CIの上限
  • NNH:有害必要数
  • NNH.LL:有害必要数の95%CIの下限
  • NNH.UL:有害必要数の95%CI上限

つまり、発現割合の差が約1.7%だと、その逆数57が、有害必要数と計算される。

> riskdiff.confint(r1=11,n1=532,r2=3,n2=933)
Prop.G1    Prop.G2 Difference    LL.95CI    UL.95CI        NNH     NNH.LL     NNH.UL
2.1        0.3        1.7        0.5        3.0       57.0       33.0      207.0

治療数 NNT との関係

治療必要数(Number Needed to Treat)と同じ計算方法。

「治療してよくなる人を見出すために何人必要か」と、「有害なイベントが起きてしまうのは何人治療したときか」は、計算としては同じこと。

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まとめ

発現率の差の逆数がNNH。

関数を R で自作した。

参考になれば。

参考書籍

信頼性の統計学: 信頼区間および統計ガイドライン
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第1章臨床研究ではなぜ統計が必要なのか?計画することの重要性
  • 推定ってどんなことをしているの?
  • 臨床研究を計画するってどういうこと?
  • どうにかして標本平均を母平均に近づけられないか?
第2章:研究目的をどれだけ明確にできるのかが重要
  • データさえあれば解析でどうにかなる、という考え方は間違い
  • 何を明らかにしたいのか? という研究目的が重要
  • 研究目的は4種類に分けられる
  • 統計専門家に相談する上でも研究目的とPICOを明確化しておく
第3章:p値で結果が左右される時代は終わりました
  • アメリカ統計協会(ASA)のp値に関する声明で指摘されていること
  • そうは言っても、本当に有意差がなくてもいいの…?
  • なぜ統計専門家はp値を重要視していないのか
  • 有意差がない時に「有意な傾向があった」といってもいい?
  • 統計を放置してしまうと非常にまずい
第4章:多くの人が統計を苦手にする理由
  • 残念ながら、セミナー受講だけで統計は使えません。
  • インプットだけで統計が使えない理由
  • どうやったら統計の判断力が鍛えられるか?
  • 統計は手段なので正解がないため、最適解を判断する力が必要
第5章:統計を使えるようになるために今日から何をすれば良いか?
  • 論文を読んで統計が使えるようになるための5ステップ
第6章:統計を学ぶために重要な環境
  • 統計の3つの力をバランスよく構築する環境

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この記事を書いた人

統計 ER ブログ執筆者

元疫学研究者

統計解析が趣味

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