二元配置分散分析をSPSSで実施する方法の紹介。
交互作用がある場合に、多重比較はどのように行えばよいかも紹介。
二元配置分散分析とは?
2つのカテゴリカルデータの因子の効果を検討する分析手法である。
2つの因子の交互作用を考慮することが多い。
交互作用とは?
交互作用とは、2つの因子があった場合、片方の影響が、もう一方の因子別に異なることを言う。
例えば、治療薬A, B, Cの効果と、男女の効果を同時に見たいとする。
男女には効果に差はあるが、治療薬A, B, Cの効果の順番は、男女で異ならないとする。
こういう場合は、交互作用はない。
一方で、男女で効果が差があり、さらに治療薬A, B, Cの効果順も男女で異なっているとする。
こういう場合は、交互作用がある、と言う。
二元配置分散分析をSPSSで実施する方法
二元配置分散分析をSPSSで行うには、分析→一般線型モデル→1変量を使用する。
使用するサンプルデータは、参考サイトのデータだ。
従属変数に目的変数、固定因子に2つの因子を投入する。
交互作用 Gender * Method は自動的に計算される。
ノートの取り方の方法別、男女別、GPA成績変化を見ている。
男女Gender別に方法Method1,2,3の平均を比較するというデータである。
作図で、横軸にMethod、線の定義にGenderを入れて、追加をクリック。
エラーバーも含めておく。
いったん実行すると、解析結果が出力される。
分散分析表を見てみる。
MethodとGender*Methodが有意であることがわかる(有意水準5%とする)。
つまり、交互作用ありということである。
推定周辺平均で作図したグラフも、Methodごとに異なっていて、さらに性別で異なっていることがわかるような図になっている。
交互作用が有意の場合の多重比較―単純主効果の比較
交互作用が統計学的に有意である場合、SPSSでは、単純主効果の比較という方法が使える。
分析→一般線型モデル→1変量のダイアログに戻り、EM平均をクリックする。
ちなみに、EM平均のEMとは、Estimated Marginalの略で、結果出力では推定周辺と訳されている。
モデルで推定されている平均値と理解すればよい。
ダイアログボックス内では、Gender*Methodを平均値の表示に投入し、単純な主効果の比較にチェックを入れる。
信頼区間の調整は、必要に応じて、Bonferroniを選択する。
探索型研究であって、多重調整を必要としない場合は、デフォルトのまま LSD(なし) でも問題ない。
ここは研究者の考え方による。
続行して、解析を実行すると、出力の中に、ペアごとの比較が2回登場する。
これらが交互作用があるときの多重比較の結果である。
男女を比較するときは、Method別に比較し、Methodを比較するときは、性別ごとに比較している。
これが単純主効果の比較と呼ばれるものである。
今回の結果では、Method1とMethod2で、男女間が有意に異なると言える。
また、女性だけ、Method2とMethod1、Method2とControlが有意に異なっていた。
上記のグラフと見比べても、納得の結果ではなかろうか。
まとめ
二元配置分散分析をSPSSで実施した際に、交互作用が統計学的有意になった場合、多重比較を単純主効果の比較で行う方法を紹介した。
二元配置分散分析で困っているようなら、ぜひ参考にしていただければ。
参考サイト
http://oak.ucc.nau.edu/rh232/courses/EPS625-phx/#Handouts
サンプルデータ Example 2 Dataset (SPSS)
コメント