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傾向スコアを共変量にした調整はなぜダメなのか

傾向スコアを用いた解析はいくつか知られているが、傾向スコアを共変量にした解析は推奨されていない

その理由は何か

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目次

傾向スコアを共変量にした調整は推奨されていない

傾向スコアを用いた解析は、主に以下の 4 つである

  1. 傾向スコアマッチング
  2. 傾向スコア層別解析&結果の一貫性確認
  3. 傾向スコアを連続データの共変量として線形モデルに投入
  4. 逆確率を重みとして用いる(IPTW)

このうち、3 番の共変量として投入することは奨励されていない

理由は以下のとおりである

理由その 1:数学的に無理がある

共分散分析のモデルで傾向スコア解析を行うための前提条件として、傾向スコアと目的変数が線形な関係にある必要があるが、傾向スコアが 0 から 1 をとる以上、そのような関係を仮定することに無理がある

出典:傾向スコア解析法による因果効果の推定と調査データの調整について

理由その 2:仮定が厳しい

傾向スコア以外の共変量は、共変量として投入しない証拠として、以下のような認識がある

アウトカムに対する回帰モデルで1つ1つの共変量を投入する代わりに、傾向スコアを直接アウトカムモデルに投入するという方法もあります。
(中略)
モデルの仮定
アウトカムと傾向スコアS(l)の間に線形性の仮定がおいてあるだけでなく、因子Aの効果が傾向スコアS(l)の値によって変わらないという仮定が置かれています。

出典:傾向(プロペンシティ)スコアの各使用法の仮定・解釈の違いを比較してみた – Unboundedly

理由その 3:バイアスの入った推定値になる

共変量として調整に使うと、推定値のバイアスにつながるとのシミュレーション結果の報告がある

Stratification on the propensity score and covariate adjustment using the propensity score result in biased estimation of both marginal and conditional hazard ratios.

このシミュレーションでは、傾向スコアを作成した治療の有無の変数と傾向スコアの 2 つのみを説明変数として投入した解析を行っている

2.4. Covariate adjustment using the propensity score
Rosenbaum and Rubin proposed covariate adjustment using the propensity score in the context of
estimating linear treatment effects for continuous outcomes [2]. Using this approach, we regress the
outcome on two covariates: an indicator variable denoting treatment status and the propensity score.

出典:The performance of different propensity score methods for estimating marginal hazard ratios

まとめ

以上、傾向スコアを共変量として投入し調整する方法が推奨されない理由を紹介した

  • 数学的に無理がある
  • 仮定が厳しい
  • 推定値にバイアスが入る

これらの理由から、傾向スコアを共変量として投入する解析方法を推奨されない

何らか参考になれば

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参考文献

傾向スコア解析法による因果効果の推定と調査データの調整について

傾向(プロペンシティ)スコアの各使用法の仮定・解釈の違いを比較してみた – Unboundedly

The performance of different propensity score methods for estimating marginal hazard ratios

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この記事を書いた人

統計 ER ブログ執筆者

元疫学研究者

統計解析が趣味

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