回帰分析の結果をレポートやブログにまとめる際、どの数値を拾い、どう表現すべきか。本記事では、初心者が必要最低限押さえるべきポイントを簡潔に解説する。
結果として表示する数値
分析ソフトの出力結果から、まず以下の3点を確認する必要がある。
- 偏回帰係数($B$ または $\beta$):要因が1単位変化した際、結果がどれくらい変化するかを示す。偏回帰係数は重回帰分析のときであり、単回帰分析の場合は、単に回帰係数となる。
- $p$値(有意確率):その結果が偶然ではないかを示す指標(一般に0.05未満であれば「有意」)。
- 決定係数($R^2$):モデルがデータをどれくらい説明できているか(当てはまりの良さ)を示す。
なぜその数値が必要か
これらの数値は、分析の「信頼性」と「影響度」を客観的に示すために不可欠である。特に$p$値が示されていないと、その結果が統計的に意味のあるものか判断できない。
結果の記述方法
結果のセクションでは、自分の意見を排除し、分析で得られた事実のみを淡々と記述する。
記述のポイント
- どのような回帰分析を行ったかを明記する。
- 決定係数を示し、モデルの精度を伝える。
- 各変数の係数と$p$値を示し、統計的に有意な影響があったかを述べる。
結果の記述例
「アイスの売上」を目的変数、「最高気温」を説明変数として単回帰分析を行った。分析の結果、決定係数は $R^2 = 0.65$ であった。最高気温の回帰係数は $B = 12.5$($p < 0.05$)であり、気温は売上に対して正の方向に有意な影響を与えていることが示された。
解釈の方法
数値の報告が終わったら、次にその数値が何を意味するのかを「解釈」する。
解釈は「考察」に書く
初心者が混同しやすいが、「事実(結果)」と「意見(考察)」は明確に分けるのがルールである。解釈は、数値から何が言えるのかを社会的な文脈や実務に落とし込んで記述する場所である。
解釈の記述例
分析結果から、気温が1度上昇するごとに、売上が平均して12.5個増加することが示唆される。このことから、夏季の在庫管理において気温予報を連動させることは、機会損失を防ぐ上で有効な戦略であると考えられる。
まとめ
回帰分析の結果を書く際は、以下の流れを守ることが重要である。
- 必要な数値(係数、$p$値、決定係数)を正しく提示する。
- 「結果」には客観的な事実のみを書く。
- 「考察」で、その数値が持つ意味や背景を解釈する。
この型を意識することで、初心者でも論理的で説得力のあるレポートを作成できる。
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