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【もう迷わない】カイ二乗検定からコクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)まで、全6種の検定の「つながり」を完全図解

データ分析を行ったり論文を読んだりしているとき、以下のような状況で混乱した経験はないだろうか。

「$2\times2$ のカイ二乗検定はわかるが、コクラン・アーミテージやマンテル・ヘンツェルなど、名前が長すぎて頭に入らない」

「手元のデータを分析したいが、結局どの検定のボタンを押せばよいのかわからない」

これらの検定は、統計ソフトのメニューにバラバラに並んでいるため、個別に覚えようとすると迷宮に入り込んでしまう。

しかし、これらはすべて「$2\times2$ のカイ二乗検定」という基本形から、縦・横・奥へと形を広げていった「親戚」のような関係にある。

この記事では、難しい数式は一切使わず、「表のカタチがどう変わるか」だけに焦点を当て、これら6つの検定のつながりをスッキリと整理する。読み終える頃には、迷わず正しい検定を選択できるようになるはずだ。

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目次

脳内に地図を作ろう!3つの「拡張ルール」

本格的な解説に入る前に、まずは全体マップ(スキルツリーのようなもの)を頭に思い浮かべてほしい。

すべての出発点は「カイ二乗検定($2\times2$)」である。ここから、データの複雑さに合わせて次の3つの方向に進化していく。

  • 横に広げる($k$): カテゴリに「順番(トレンド)」の意味を持たせる
  • 縦×横に広げる($k\times m$): 選択肢やグループの数を純粋に増やす
  • 奥に広げる(多層): データの背景にある「歪み(施設差など)」をスライスして重ねる

この3つの軸さえ理解しておけば、これから紹介する6つの検定はすべて一本の線でつながる。

【基本形】すべての始まり

① カイ二乗検定($2\times2$)

すべての基準となる、最もシンプルな2マス×2マスの世界である。

  • どんなときに使う?2つのグループにおいて、あるイベントが「起きた・起きない」の割合に差があるかを見たいとき。
    • 例:【新薬グループ vs 偽薬グループ】で、【治った・治らない】の割合を比べる。
  • 初心者のためのイメージ「新薬を飲んだ人の方が治った割合が高いが、これは偶然(誤差)なのか、それとも意味のある差(有意差)なのか」を判定する、カテゴリカルデータ分析の王道である。

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【拡張ルート1】「順序(トレンド)」を味方につける

基本の $2\times2$ から、片方の軸が「なし・軽度・重度」のように順番に意味がある形へと進化する。

② コクラン・アーミテージ(Cochran-Armitage)検定($2\times k$)

  • どんなときに使う?2つのグループを比べる際、片方のデータが「段階($k$ 個)」になっているとき。
    • 例:【生存・死亡】の2グループ間で、【喫煙量:吸わない・ときどき・毎日】の割合を比べる。
  • 基本形($2\times2$)からの進化ポイント普通のカイ二乗検定では、「吸わない」「ときどき」「毎日」をただの独立したバラバラなグループとして扱ってしまう。しかし、コクラン・アーミテージ検定は「右にいくほど(喫煙量が増えるほど)、死亡の割合が右肩上がりに上がっていくか?」という『トレンド(傾向)』を賢くキャッチすることが可能である。

【拡張ルート2】縦にも横にも「サイズ」を広げる

今度は「順序」は関係なく、純粋に $2\times2$ の枠組みを、制限なしの「何行×何列($k\times m$)」にまで引き延ばす。

③ カイ二乗検定($k\times m$)

  • どんなときに使う?3つ以上のグループ($k$)で、3つ以上の選択肢($m$)の割合を比べたいとき。
    • 例:【A県・B県・C県】の在住者で、【支持する政党:第1党・第2党・その他の党】の割合に地域差があるかを調べる。
  • 基本形($2\times2$)からの進化ポイント$2\times2$ の計算の仕組みを、そのまま縦・横に大きく広げたものである。ただし、この検定は「どこかの県で、どこかの政党の支持率が異なる」ということしかわからない。②のような「右肩上がりのトレンド」を見抜く力はないため、順序のないバラバラなカテゴリを比較する際に用いる。

【最難関ルート】「第3の変数(層)」という3次元の世界へ

ここからが、多くの人が混乱するポイントである。

例えば、新薬の効果を調べたいとき、「A病院(大病院・重症者が多い)」と「B病院(クリニック・軽症者が多い)」のデータをそのまま一緒に混ぜてしまうと、正しい結果が見えなくなる(これを統計学で交絡と呼ぶ)。

そこで、データを「A病院の表」「B病院の表」とスライスして奥に重ね、3次元の箱(キューブ)にするイメージを持ってほしい。この「病院ごと」というスライスを「層(ストラータ)」と呼ぶ。

④ コクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定($2\times2\times\text{多層}$)

  • どんなときに使う?基本の $2\times2$ の解析を行いたいが、施設ごと、あるいは年齢層ごとにデータを分けて(層別化して)正しく評価したいとき。
    • 例:【新薬 vs 偽薬】で【治った vs 治らない】を比べたいが、【施設A・施設B・施設C……】という病院ごとの偏りを取り除き、純粋な薬の効果を合算して評価したいとき。
  • 進化ポイント各病院の「$2\times2$」の表を、病院ごとの偏りを帳消しにしながら、ギュッと1つに統合して検定を行う。

⑤ 拡張マンテル(Extended Mantel)検定($2\times k\times\text{多層}$)

  • どんなときに使う?層別化(多層)しつつ、さらに片方のデータに「なし・軽度・重度」のような順序($k$)があるとき。
    • 例:前述の【喫煙量(3段階)と生存率(2択)】の関係を見たいが、【20代・30代・40代……】という年齢による影響を無視できないとき。
  • 進化ポイントこれは「②コクラン・アーミテージ(順序)」に「層(3次元)」の概念を追加したものである。年齢の歪みを取り除きつつ、「タバコの量が増えるほど死亡率が上がる」というトレンドを見抜く。

⑥ コクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定($k\times m\times\text{多層}$)

  • どんなときに使う?縦も横も大きく($k\times m$)、さらにそれを層別化(多層)して分析したいとき。
    • 例:【3つの県】×【3つの支持政党】の地域差を見たいが、【男性・女性】で分けて、性別の偏りの影響を排除した上で全体の傾向を評価したいとき。
  • 進化ポイント「③カイ二乗($k\times m$)」に「層(3次元)」の概念を追加したものである。カテゴリカルデータ検定における、文字通りの「最終形態」と言える。

まとめ:もう迷わない!YES/NO選択フローチャート

最後に、手元にあるデータから、一瞬で使うべき検定がわかるフローチャートを示す。

Plaintext

[スタート] 背景を揃えるための「層(施設や年齢など)」はある?
  │
  ├─【NO(1枚の表でOK)】──> Q1.データに「順序(なし・軽度・重度など)」はある?
  │                            │
  │                            ├─【NO】─> 表のサイズは?
  │                            │            ├─ 2 × 2  ⇒ ① カイ二乗検定(2×2)
  │                            │            └─ 拡大版  ⇒ ③ カイ二乗検定(k×m)
  │                            │
  │                            └─【YES(2×k)】 ──────> ② コクラン・アーミテージ検定
  │
  └─【YES(多層のキューブ)】─> Q2.データに「順序」はある?
                               │
                               ├─【NO】─> 表のサイズは?
                               │            ├─ 2 × 2  ⇒ ④ コクラン・マンテル・ヘンツェル検定
                               │            └─ 拡大版  ⇒ ⑥ コクラン・マンテル・ヘンツェル検定(k×m×多層)
                               │
                               └─【YES(2×k)】 ──────> ⑤ 拡張マンテル検定

一見、名称が難解で複雑そうに思える検定群であるが、「いま自分は、表のサイズを広げているのか? 順序を気にしているのか? それとも層に分けているのか?」を意識するだけで、驚くほど明快に整理できる。

次に統計ソフトを使用する際は、ぜひこの「3つの軸」を思い出し、自信を持って適切な検定を選択してほしい。

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  • 推定ってどんなことをしているの?
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第2章:研究目的をどれだけ明確にできるのかが重要
  • データさえあれば解析でどうにかなる、という考え方は間違い
  • 何を明らかにしたいのか? という研究目的が重要
  • 研究目的は4種類に分けられる
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この記事を書いた人

統計 ER ブログ執筆者

元疫学研究者

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