移動平均は同じ平均でも、通常の平均とは違います。
コロナの感染者数を評価するのに、一躍有名になった感じのある移動平均。
移動平均は時系列データ(1日の売上の推移など)で有効活用でき、データ分析を楽にしてくれます。
計算の仕方も簡単で、エクセルでも計算できます。
この記事では移動平均の概要とメリット、エクセルで実際に計算する方法を紹介していきます。
移動平均を使いこなしてデータ分析に活かしましょう!
移動平均とは?通常の平均とどんな違いがある?
移動平均とはある時点からある時点までの数値を平均したものです。
正式名称は”単純移動平均”です。
日々の売上や株価など、時間で変動する時系列データのトレンドを確認するために使われます。
移動平均を具体例で考えてみる
実際に具体例をあげていきましょう。
4月の日々の売上のデータを30日分持っているとしましす。
ひとまず5日分の移動平均を算出することに決めました。
移動平均は、その日からさかのぼってn日分のデータを平均します。(この例では5日分)
(※基準日からその前後n日分を移動平均とするケースもありますが、今回は一般的な移動平均の方法を解説します。)
この場合4月6日の移動平均は、4月1日〜5日までの5日分の売上の平均値です。
4月7日の移動平均は、4月2日〜4月6日までの売上の平均値です。
そのため、データが日々変わるのと同様に移動平均も1日ごとに変化します。
この”変化する”という点が移動平均の最大の特徴です。
移動平均と通常の平均の違い
移動平均と通常の平均(算術平均)の違いは、時間の影響を受けるかどうかです。
移動平均は時間で変わりますが、通常の平均は一定です。
今回の例で言うと、通常の平均なら4/1〜4/30まで全データ、もしくは1週間毎に算出しますよね。
でもこの平均値は常に一定です。
でも5日分の移動平均は、どの日を基準日にするかで値が変わってきます。
ここで「移動平均なんて出す意味あるの?通常の平均だけで十分じゃん」と思うかたもいるかもしれません。
でもはっきりと断言します。
移動平均を算出する意味は大いにあります!
では移動平均のメリットと、その活用方法について解説していきますね。
移動平均のメリットは?
移動平均のメリットは、やや長いスパンでのデータの時間変化を捉えることができるという点です。
日々のデータの変動が激しすぎて期間全体で値が伸びてきているのか、落ちているのか分かりにくい場合に大活躍します。
ここからは実際にグラフを見ながら解説していきますね。
先程の例を用いて、まずは日々の売上をグラフにしてみましょう。
かなりギザギザなデータです。
これは平日に比べて土日は売上が上がることを反映しています。
このデータをパッと見て、月初と月末で売上が伸びているかどうか、すぐには分からないですよね。
なんとなく上がっているような気がしなくもないですが、データの変動が大きくて断言は難しいでしょう。
そこで移動平均の出番です。
先程のグラフに5日分の移動平均を足してみましょう。
いかがでしょうか?
ゆっくりではありますが、売上が伸びているのが分かりますよね。
このように移動平均は、データをなめらかにしてトレンドを掴みやすくする時に役立ちます。
移動平均の実際の活用方法
移動平均が活用されているところは多くありますが、その代表は株価でしょう。
ここでは株価を例に、移動平均がどのように活用されているか、解説していきます。
まずは日経平均の5年分の株価の変動をみてみましょう。
青い線が日々の株価の変動、赤い線が75日分の株価の移動平均です。
ご覧の通り、日々の株価は変動が激しいため青色の線はかなりギザギザしていますね。
反対に赤色の線はなめらかです。
この赤い線を見ると、今株価が上昇傾向なのか、下降傾向なのか、ひと目で分かりますね。
今回は75日分の移動平均しか出していませんが、実際に株をする人は5日分や25日分の移動平均も見ながら投資の判断をしています。
5日分のような短い移動平均は短期のトレンドを、75日分のような長い移動平均は長期のトレンドを把握するのに役立ちます。
このように時間で変化するデータのトレンドを掴むのに、移動平均は最適というわけです。
移動平均の区間の決め方は?何日分が最適なのか?
実際に移動平均を計算する段階になると悩むのが、何日分の移動平均をとるかという問題です。
しかし、これに関して一定の答えはありません。
ケース・バイ・ケースです。
先ほどの株価でご説明したように、短ければ短期トレンド、長ければ長期トレンドを見ることができます。
ですので実際に計算するときは、ひとまず適当な長さでいくつか移動平均をとり、一番活用しやすそうな長さを選びましょう。
だいたい総データ数の5~10%の長さになってくる印象がありますので、そのあたりから始めるといいと思います。
エクセルで移動平均を計算できる?
移動平均はエクセルで簡単に計算できます。
しかも使う関数は通常のAVERAGE()関数だけです。
エクセルを普段使わない人でも問題なく計算できますので、安心してくださいね。
それでは先ほどお見せした4月の売上例を使って、実際にエクセルで移動平均を計算していってみましょう。
5日分の移動平均を計算し、最終的に以下のグラフを作成していきます。
エクセルで移動平均を計算する方法
まずは以下のようにエクセルに日付と売上データを入力していきます。
ここでは上から下に向かって縦向きにデータを並べていますが、左から右に向かって横向きにデータを並べていっても問題ありません。
ここまでは大丈夫でしょうか?
ここからいよいよ移動平均の列を作成していきます。
下の表のように指定日よりさかのぼって5日分の売上平均を計算します。
4月5日までは平均がとれないので、4月6日から移動平均を算出していきます。
これで4月6日の移動平均(4月1日〜5日の売上平均)が計算できましたね。
後は4月末まで同じように計算していくだけです。
先ほど移動平均を計算したセルの右下の■を下にドラッグするだけで、以下の図のように自動で移動平均を計算できます。
これで移動平均の計算は終了です。
最後はこれをグラフにしていきましょう。
日付、売上、移動平均をすべて選択した状態で、挿入タブをクリックし、折れ線グラフマークを選択しましょう。
これで先ほどお見せしたグラフが作成されるはずです。
お疲れさまでした。
移動平均が役立ちそうなところがあれば、是非活用してみてくださいね!
まとめ
最後におさらいをしましょう。
- 移動平均はある時点からある時点までの平均
- 時間により値が変化する点で、通常の平均とは異なる
- 移動平均は時系列データのトレンドを把握しやすいメリットがある
- 日々の売上の推移や株価のトレンドを把握する時によく使われる
- 移動平均はAVERAGE関数のみでエクセルで計算できる
今回は売上や株価など日によって変わるデータを使用しました。
しかし移動平均は、秒刻みで変動するデータ(動画解析など)や年ごとに変動するデータなど、どんな時系列データでも対応可能です。
もし活用できそうなデータがあれば、是非計算してみてくださいね。
新しい発見があるかもしれませんよ!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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