臨床試験(治験)のデザインを考える

フィッシャーの三原則を具体例を用いて反復・無作為化・局所管理を理解する

フィッシャーの三原則を例を用いて反復・無作為化・局所管理を理解する

研究では、実験を行う前に実験計画を立てる必要があります。

良い研究を行うには良い実験計画が欠かせません。

もし、実験計画を立てずにむやみやたらに実験を行うと、お金や時間の無駄になっていますからね。

では、どのような実験計画が良い計画なのでしょか。

 

その指標となるものに、「フィッシャーの三原則」があります。

この記事ではフィッシャーの三原則について、具体例を用いながらまとめていきます。

 

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フィッシャーの三原則とは?具体例を交えて解説!

フィッシャーの三原則とは?

フィッシャーの三原則は、フィッシャーという方が、1935年に著者「The Design of Experiments」(日本語では実験計画法)で提唱した、実験計画の3つの原則です。

フィッシャーの正確確率検定を生み出した人でもありますね。

このフィッシャーの3原則の目的は、誤差を小さくすること

統計は誤差を扱う学問といっても過言ではありませんが、この「誤差」を小さくする努力は、問題解決に対して非常に重要なのです。

 

フィッシャーの3つの原則は次のようなものです。

  • 反復(replication)
  • 無作為化(randamization)
  • 局所管理(local control)

それぞれの原則について詳しく見ていきましょう。

 

フィッシャーの三原則:反復(Replication)

「反復」とは、実験の都合上データを取ることが不可能ではない限り、2回以上の反復測定を行うことです。

1回だけの測定で、測定値に違いが出たとしても、測定の違いは実験目的上で意味のある違いなのか、偶然の違いなのか、実験者のミスによるものなのかを判断することはできません。

反復測定を行うことで、偶然生じた違い(偶然誤差)を評価することができます。

 

例えば、ある食後の血糖値上昇を抑える薬の効果を確かめるとします。

薬を摂取した被験者の食前と食後の血糖値を測定するという実験を行うとします。

食事が朝昼晩の3回あるため、1日に3回測定することができますね。

また、血糖値測定を3日間にわたって行うと、一人当たり3×3で9回の反復測定を行うことになります。

薬の摂取を◯とすると、以下のように9個の◯がつけられます。

1日目 2日目 3日目
◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯

 

フィッシャーの三原則:無作為化(Randomization)

無作為化とは、比較したい条件を無作為に(ランダム)に割り振ることです。

実験の順序、時間、場所などが測定結果に影響を与え、”ある一定の傾向がある誤差”が生じる可能性がありますよね。

この”ある一定の傾向がある誤差”のことを系統誤差と呼びます。

系統誤差が生じるときに無作為化を行うことで、系統誤差の影響を小さくすることができてしまう。

また、「無作為化」を行うことによって、系統誤差を偶然誤差に変換することもできます。

>>ランダム化比較試験とは?

 

先ほどの例で考えてみましょう。

ある食後の血糖値上昇を抑える薬の効果を確かめるとします。

薬を摂取した被験者の食前と食後の血糖値を測定するという実験を計画しました。

食事が朝昼晩の3回ある場合、1日に3回測定します。

薬の摂取を◯とする。

1日目 2日目 3日目
◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯

(反復の例と同じ)

 

しかし、朝食、昼食、夕食で、食べる時間や量、寝起きかどうかなど条件が異なるため、薬の効き目に誤差が生じる可能性があります。

また、測定日によっても測定値結果が変化する可能性がありますし、連続で摂取することが結果を変えるかもしれません。

そこで、偽薬を導入して、目的の薬の摂取を無作為化することにします。

薬の摂取を◯、偽薬の摂取をXとすると、以下のように◯とXを並べるパターンが作れます。

1日目 2日目 3日目
被験者1 ◯ X ◯ ◯ X X XX ◯
被験者2 X◯X XXX ◯◯X

 

フィッシャーの三原則:局所管理(Local  control)

測定を行うとき、実験の順序、時間、場所などが測定結果に影響を与え、系統誤差が生じる可能性があります。

そのような時、実験を行う時間や場所を同じにした条件を作ります。

この条件のセットを専門用語でブロックと呼びます。

ブロック内でのバックグラウンドとなる条件が極力均一になるようにすることを局地管理と言います。

局地管理を行うことができれば、「無作為化」以上に、系統誤差を小さくすることができます。

 

先ほどの例で考えてみましょう。

ある食後の血糖値上昇を抑える薬の効果を確かめるとします。

薬を摂取した被験者の食前と食後の血糖値を測定するという実験を計画しました。

食事が朝昼晩の3回ある場合、1日に3回測定します。

しかし、薬の効果が朝、昼、夜で異なっていることがわかっていたとします。

そこで、朝、昼、夜の影響がなくなるように調整する方法が局所管理です。

局所管理では朝、昼、夜をブロックに分けて、薬の摂取の有無を割り当てて行きます。

薬の摂取を◯、偽薬の摂取をXとする

1朝 1昼 1夜 2朝 2昼 2夜 3朝 3昼 3夜
被1 X X X X
被2 X X X X X
被3 X X X X
被3 X X X X X

 

フィッシャーの三原則を満たす実験計画:乱塊法(Randomize block design)

フィッシャーの三原則の全てを満たす実験計画のことを乱塊法と呼びます。

復習までに、3原則とは以下のことでしたね。

  • 反復(replication)
  • 無作為化(randamization)
  • 局所管理(local control)

 

フィッシャーの三原則まとめ

フィッシャーの三原則まとめ

フィッシャーの三原則は

  • 反復(replication)
  • 無作為化(randamization)
  • 局所管理(local control)

です。

これらは

  • 偶然誤差
  • 系統誤差

の影響を小さくするために考案されました。

 

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