交絡は臨床試験において重要な事であるにも関わらず、とてもイメージしにくいです。
交絡を防ぐためにランダマイズをする、と言ってもいいほどです。
そのため、しつこいようですがもう一つ例をお伝えします。
皆さんも余裕があれば、ご自身で例を考えてみてくださいね。
コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい?
ある調査によると、このような結果が出たとのことです。
コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい
これって、本当でしょうか?
もし真実であれば、1日に3杯はコーヒーを飲む私は心筋梗塞まっしぐらということになります。。
ですが、これには交絡が絡んでいます。
ということで、「コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい」に関して、交絡因子を考えます。
まず、要因とアウトカムを整理しましょう。
要因:「コーヒーをよく飲む」
アウトカム:「心筋梗塞になりやすい」
喫煙は交絡因子になるか?
「コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい」が間違っていると仮定します。
すると、違う要因(交絡因子)によって見かけ上、「コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい」という関係性が出てきただけ、という風に考えることができます。
すると、私たちが考えなければならないことは、以下の2つの条件に当てはまる交絡因子を見つけなければなりません。
- 心筋梗塞になりやすい因子
- コーヒーを飲むことと関連がある因子
この2つの条件を満たしそうなのは「喫煙」ではないでしょうか。
あなたもぼんやりと「喫煙かもなぁ」ぐらいに思っていたかもしれません。
図式化すると、このような関係があるかもしれないということです。
では、この喫煙が交絡因子の3条件に当てはまっているかどうかを考えてみましょう。
1. アウトカムに影響を与えるか?
まずは、1つ目の条件に当てはまるかどうかを検討してみます。
1つ目の条件とは、「アウトカムに影響を与えるかどうか」でした。
では、今回の「コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい」に関してのアウトカムはなんだったでしょうか。
そう、「心筋梗塞になりやすい」がアウトカムですね。
では、喫煙すると心筋梗塞になりやすいか?
と問われれば、それはYesです。
下にも図を貼り付けましたが、
タバコのパッケージにこのような警告がすでにされております。
そのため、1つ目の条件はクリアしております。
2. 要因と関連があるか?
次に、2つ目の条件に当てはまるかどうかを検討してみます。
2つ目の条件とは、「要因との関連があるかどうか」でした。
では、今回の「コーヒーをよく飲む人は心筋梗塞になりやすい」に関しての要因はなんだったでしょうか。
そう、「コーヒーをよく飲む」が要因ですね。
では、コーヒーをよく飲む人は、よく喫煙をするのか。
私自身、正確なデータを把握しておりませんが、これも言えると思います。
喫煙所ではよく缶コーヒーを持っている人を見かけますし、カフェで禁煙席はガラガラなのに喫煙席は満席、といった状況をよく目にするためです。
そのため、二つ目の条件は当てはまりますね。
3. 中間因子ではないか?
最後に、3つ目の条件に当てはまるかどうかを検討してみます。
3つ目の条件とは、「要因とアウトカムの中間因子ではない」でした。
中間因子という言葉が難しいですが、今回の例ではこういうことです。
「コーヒーをよく飲むことによって、必ずといっていいほどの人が喫煙をする、その結果心筋梗塞になりやすい」
という関係が当てはまるかどうか、ということです。
どうでしょうか?
当てはまると思いますか?
当てはまらないですよね。
つまりコーヒーをよく飲む結果として喫煙をするわけではないということです。
私もコーヒーはすごく飲みますが、喫煙は全くしません。
なので、コーヒーを飲むことによって喫煙をする、という関係性は成り立ちません。
よって、中間因子ではないため、3つ目の条件が当てはまっています。
最後に、もう一度喫煙が交絡因子であるかどうかの図を提示しておきます。
なんども眺めてみて、喫煙が交絡因子である3つの条件に合致しているか、考えてみてください。
まとめ
色々な現象は、交絡因子によって歪められている可能性があるため、よく考えることが重要です。