この記事では「二重盲検法が必要な理由を例でわかりやすく!盲検化でなぜバイアスを防ぐことができるの?」という内容でお伝えします。
そして盲検化が、バイアスを避けるための方法としてとても重要。
盲検化をしているかどうかで、その臨床試験の質が全く異なります。
そして盲検化の方法として有名なのが二重盲検法。
臨床試験で重要な盲検化、特に二重盲検法がどのような方法なのかを、このページでは見ていきます!
二重盲検法が必要な理由を例でわかりやすく!なぜ盲検化が推奨される?
盲検化とは、どの被験者が、どのような薬剤を投与されているか、わからないようにするということ。
盲検化には3種類の方法があります。
それは、非盲検、単盲検、二重盲検。
その中でも臨床試験で一番推奨されるのが二重盲検法です。
倫理的な理由がない限り、臨床試験は二重盲検で行うことが理想。
二重盲検とはこのような方法です。
この二重盲検法を採用することで、意識的・無意識的に限らず、多くの偏り(バイアス)を排除することが可能です。
二重盲検法がなぜ、偏り(バイアス)を回避するのに重要な方法なのでしょうか?
二重盲検法のわかりやすい例:被験者が知らないことで避けられる偏り
二重盲検法とは、被験者も医師も、誰がどの治療を受けているかを知らないようにすることでした。
ここでは、被験者が知らないことでなぜ偏りが避けられるのかということの一例を挙げてみます。
例えば二重盲検法を採用せずに、自分がプラセボ群であると知った場合に、あなたはこの試験に参加することで自分の病気が治ると思うでしょうか?
・・・絶対に思わないですね。
つまり、自分がプラセボだと知った時には、もしかしたら薬局で別の薬を購入して服用するかもしれません。
その場合には、プラセボの効果ではなく、薬局で買った薬の効果がデータに反映されることになります。
逆に自分が新薬であることが分かった場合、あなたは自分の病気が治るかもしれないという希望から、自分の生活を見直すかもしれません。
健康に良いとされるサプリメントを飲んだり、生活習慣を早寝早起きにしたり、運動する習慣を付けたりといったことをするかもしれません。
その場合には、新薬の効果だけではなく、生活習慣を変えることでの効果が上乗せされたデータになってしまいます。
これらのデータを群間比較するといっても、純粋な薬の効果を反映しているとは言えません。
上記のように、自分がどっちの治療を受けているのかを知ってしまうことによって発生するバイアス(偏り)を、二重盲検法を適用して被験者が知らないようにすることで避けることが出来ます。
二重盲検法のわかりやすい例:医師が知らないことで避けられる偏り
今度は、二重盲検法により医師が試験治療を知らないことでなぜ偏りが避けられるのかということの一例を挙げてみます。
例えば、試験中に被験者さんに頭痛が生じたとします。
その時、二重盲検法を適用せずに、頭痛を判定する医師がプラセボだと知っていたら、当然、試験治療との関連はないとして処理すると思います。
しかし、新薬群であると知っていたら、「もしかしたら関連があるんじゃないか?」という目で見てしまい、関連を否定できないとする結論にするかもしれません。
このように二重盲検法を適用しない場合、患者さんがどちらの群なのか医師が知ることで実際の安全性とは異なるデータが取得されるようになってしまいます。
このような偏りを、医師が知らないことで避けることが出来ます。
二重盲検法のわかりやすい例:治験依頼者が知らないことで避けられるバイアス(偏り)
最後に、二重盲検を用いて治験依頼者が試験治療を知らないことでなぜ偏りが避けられるのかということの一例を挙げてみます。
試験治療を知っているということは、試験途中に確認するデータに関して、どのデータが新薬群でありどのデータがプラセボ群であるかがわかっている、という状況です。
そうなると、新薬群に不利なデータをあえて解析に使用しなかったり、ということを出来る可能性があります。
そうなると、試験の結果の信用性が全くなくなってしまいます。
このような恣意的なデータの取り扱いをしたのが、ディオバン事件でしたね。
データの改ざんは、刑事事件になる程重大なのです。
二重盲検法が適用できない時に初めて検討する盲検化の方法:単盲検と非盲検
二重盲検法で実施することが一番推奨されていますが、倫理的・現実的に二重盲検法が実施不可能な場合、臨床試験を単盲検か非盲検で実施します。
例えば、新しい外科手術の効果を知りたいとなった場合、偽手術群(シャム手術群)を置くことがあります。
その場合、手術をした医師は新しい外科手術をしたか、シャム手術をしたのかは必ずわかってしまうことになります。
現実的に二重盲検は不可能ですよね。
そういった場合には、「評価者は盲検化する」という工夫もできます。
術後のデータを取得する際には、どっちの手術をしたかわからない人が被験者の評価をする、という方法です。
ですが、完全なる二重盲検ではないですね。
ただ、試験の質(エビデンスレベル)を担保するために、上記のような工夫をすることも考えられます。
二重盲検ができない状況であっても、偏りができるだけ排除できるような状況にするのが重要です。
二重盲検法に関するまとめ
試験を二重盲検法を適用して行うことで意識的・無意識的に限らず、多くの偏りを排除することが可能になる。
倫理的に二重盲検が実施不可能な場合、臨床試験を単盲検か非盲検で実施する必要がある。
しかしそのような状況でも、偏りができるだけ排除できるような状況にするのが重要。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 臨床試験で偏りを回避するための最も重要な計画上の技法は、盲検化とランダム化です。 […]