この記事では、陽性的中率や陰性的中率に関してわかりやすく解説します。
有病率との関係や、感度特異度との関係や違いなんかもわかりやすく解説します。
分割表で感度と特異度とセットで出てくるのが、陽性的中率と陰性的中率です。
陽性的中率と陰性的中率に関しても、感度と特異度で出てきた2×2分割表を例にして解説していきます。
陽性的中率は、感度と違って、有病率に左右される指標です。
陽性的中率と有病率との関連も、分かりやすく解説しますね。
陽性的中率と陰性的中率とは?計算方法をわかりやすく確認
まずは、感度と特異度とは?の記事で使った分割表をおさらいします。
疾患あり | 疾患なし | 合計 | |
検査陽性 | A | B | A+B |
検査陰性 | C | D | C+D |
合計 | A+C | B+D | A+B+C+D |
疾患のありなしと検査の陽性陰性の、2×2の分割表です。
結論から言うと、陽性的中率と陰性的中率とは、以下の定義です。
- 陽性的中率の定義:A/(A+B)
- 陰性的中率の定義:D/(C+D)
数式を言葉にすると、以下の通りですね。
- 陽性的中率:検査が陽性になった人の中で、どれだけ疾患ありの人がいるか
- 陰性的中率:検査が陰性になった人の中で、どれだけ疾患なしの人がいるか
陽性的中率と陰性的中率は、有病率と関係がある
この陽性的中率と陰性的中率。
感度と特異度にはなかった特性があります。
それが、有病率との関係です。
例を見た方が分かりやすいので、感度が90%、特異度が90%の2つの例を見てください。
陽性的中率の例1:疾患あり100人、疾患なし100人の場合
以下のような2×2分割表が作成できます。
疾患あり | 疾患なし | 合計 | |
検査陽性 | 90 | 10 | 100 |
検査陰性 | 10 | 90 | 100 |
合計 | 100 | 100 | 200 |
感度は90/100で90%、特異度は90/100で90%ですよね。
この時の陽性的中率と陰性的中率は、それぞれ以下の通りです。
陽性的中率:90/100=90%
陰性的中率:90/100=90%
異論ないですよね。
陽性的中率の例2:疾患あり100人、疾患なし1,000人の場合
以下のような2×2分割表が作成できます。
疾患あり | 疾患なし | 合計 | |
検査陽性 | 90 | 100 | 190 |
検査陰性 | 10 | 900 | 910 |
合計 | 100 | 1000 | 1100 |
感度は90/100で90%、特異度は900/1000で90%ですよね。
この時の陽性的中率と陰性的中率は、それぞれ以下の通りです。
陽性的中率:90/190=47%
陰性的中率:900/910=99%
もう、例1と全然違う!!!
そんな結果が出ました。
陽性的中率と陰性的中率は、有病率に依存する
まず、例1と例2の結果をまとめておきます。
例1 | 例2 | |
疾患ありの人数 | 100 | 100 |
疾患なしの人数 | 100 | 1,000 |
有病率 | 50% (100/200) | 9% (100/1100) |
感度 | 90% | 90% |
特異度 | 90% | 90% |
陽性的中率 | 90% | 47% |
陰性的中率 | 90% | 99% |
この表からも分かる通り、陽性的中率と陰性的中率は、有病率に左右されます。
重要なので、強調してもう一度記載しておきますね。
陽性的中率と陰性的中率は、有病率(疾患を持つ人がどれぐらいいるか)に左右される
専門用語ではPrevalenceに左右されると言います。
一般的に、有病率が小さい(全体の中で疾患を持つ人が少ない)ほど、陽性的中率が下がっていきます。
陽性的中率の問題を考えると、がん検診で陽性でもがんだとは限らない
この「有病率が小さいほど陽性的中率は低い」という事実を知っていれば、がん検診で陽性だった時に落ち着くことができます。
というのも、がん検診って、結構多くの人が検査します。
言い換えると、全体の人数は多いです。
でも、実際にがんがある人は、ほんの一握り。
つまり、有病率が低いんです。
そのため、がん検診の陽性的中率は、かなり低いです。
つまり、がん検診で陽性になったとしても、本当にがんである確率は低いです。
だって、がん検診で陽性になった人が全員、即入院にならないですよね。
そのため、追加検査として確定診断をやるわけです。
陽性的中率(PPV)と陰性的中率(NPV)は英語でどう表記する?
陽性的中率は、Positive Predictive Value(PPV)です。
陰性的中率は、Negative Predictive Value(NPV)です。
論文とかで出てくるので、覚えておきたいですね。
陽性的中率に関するまとめ
- 陽性的中率:検査が陽性になった人の中で、どれだけ疾患ありの人がいるか
- 陰性的中率:検査が陰性になった人の中で、どれだけ疾患なしの人がいるか
- 陽性的中率と陰性的中率は、有病率(疾患を持つ人がどれぐらいいるか)に左右される。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] ROC曲線を理解するには、陽性的中率や陰性的中率に関する知識も不可欠。 […]
[…] よく、陽性的中率や陰性的中率とも混乱しすいですよね。 […]