臨床試験(治験)のデザインを考える

エビデンスレベルをわかりやすく!医療研究デザインで結果の信頼性が変わる

世の中には、医療行為と称して効果の怪しいの治療方法が行われていることも事実です。

この問題に対処するために、科学的に意味のある医療行為を目指す機運が高まっています。

科学的に意味のある医療のことを”Evidence based medicine (EBM)”と呼びます。

科学的に意味のある医療行為の重要キーワードに”エビデンスレベル”があります。

エビデンスレベルは研究デザインで変わることをご存知ですか??

この記事ではエビデンスレベルについてわかりやすく説明していきます!

 

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エビデンスレベルは学会で作成されるガイドラインにも関係がある

“Evidence based medicine”を行うことが求められていますが、すべての医師の方が論文を欠かさずチェックするのは現実的ではありません。

そのため、学会などの組織がガイドラインというという、

「論文を体系的に調べ、治療法の利益と害を客観的に評価することで、患者の治療を最適化することを推奨する文章」

が作成されるようになりました。

 

しかし、ある治療にに関するガイドラインを作成するために、膨大にある研究報告例をすべて精査し、吟味するのは非常に時間と労力がかかります。

重視される研究方法を、わかりやすいように類型化して研究結果の信頼度の目安を作ったのが、エビデンスレベルです。

 

エビデンスレベルって何?わかりやすく教えて!

エビデンスレベルって何?わかりやすく教えて!

エビデンス”evidence”は証拠という意味です。

そのため、エビデンスレベルはその研究結果がどれくらいの科学的根拠があるかを示す指標です。

すべての研究や論文が同様の水準で科学的根拠となるわけではありません。

そこで、どのような研究デザインによる結論が科学的根拠が高いかをわかりやすくするため、エビデンスレベルがに作られました。

次にどのような研究がどれくらいのエビデンスレベルを持つのか調べてみましょう。

 

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どのような研究がどれくらいのエビデンスレベルとなるのか?

ガイドライン作成のための手引きでは、次のエビデンスレベルが採用されています。

handbook2014.html

 

エビデンスレベル 内容
レベルI システマティック・レビューまたはランダム化比較試験のメタアナリシス
レベルII 1つ以上のランダム化比較試験
レベルIII 非ランダム化比較試験
レベルIVa コホート研究
レベルIVb 症例対照研究、横断研究
レベルV 症例報告、ケースシリーズ
レベルVI 専門委員会や専門家個人の意見

 

となっています。

レベルIになればなるほど、エビデンスレベルは高いとされます。

そのため、「システマティック・レビューまたはランダム化比較試験のメタアナリシス」が1番エビデンスレベルが高いということになりますね。

これらの内容について、少し詳しく説明していきます。

 

システマティック・レビューまたはランダム化比較試験のメタアナリシスのエビデンスレベル

システマティック・レビューやメタアナリシスとは、複数の研究を統合して統計解析を行う手法です。

これらの解析手法は個別のランダム化比較試験や研究の上に成り立っており、これ自体の単独の研究を行うことはできません。

そのため、メタアナリシスは個別のランダム化比較試験の質や均一性に影響されます。

必ずしも、個別のランダム化比較試験よりも上位に位置するわけではなく、相互補完的に臨床的知見を構築していくものだという意見もあるようです。

 

一つ注意して欲しいのは、エビデンスレベルが一番高いのは「ランダム化比較試験」のメタアナリシスという点です。

つまり、観察研究や単群試験をいくらメタアナリシスしても、エビデンスレベルが高くなりません。

そこには注意してください。

 

ちなみに「システマティックレビュー」と「メタアナリシス」の違いは、システマティックレビューが量的・質的研究どちらでも問題ないのですが、メタアナリシスは必ず量的研究に限られる点です。

 

ランダム化比較試験のエビデンスレベル

実際に試験が行われる中で最もエビデンスレベルが高いのはランダム化比較試験です。

ランダム化比較試験はRCT: Randomized Controlled Trialと英語の略称で呼ばれることもあります。

ランダム化比較試験は、客観的に治療の効果を評価することを目的とした研究デザインです。

 

ランダム化比較試験は次のような特徴があります。

  • 患者を治療群と対照群にランダムに割り当てられている

また、バイアスをなくし、客観性を向上さえるために次のような操作が行われます。

  • 治療の効果に関する尺度が規定されている。
  • 目的治療を行なった群と、比較のための治療を行なった対照群(偽薬の摂取)が存在する
  • 研究者と被験者が、治療群と対照群の区別をできないようにされている:盲検化されている

この手法のメリットは研究に高いコストがかかる点にあります。

 

非ランダム化比較試験のエビデンスレベル

ランダム化比較試験との違いは次の点です。

  • 患者を母集団からランダムに抽出し、治療群と対照群にランダムに割り当てられていない

グループ間で偏りが生じる可能性があるため、結果の信頼性はランダム化比較試験よりもやや劣るとされています。

 

コホート研究のエビデンスレベル

コホート: cohortは集団を意味します。

コホート研究では、初めに、ある疾患の起こる可能性がある要因を仮定し、対象集団(コホート)を決めます。

その要因を持った群と持たない群にについて、疾患の発症や進行などを一定期間観察し、その要因と疾患との関連性を明らかにする研究方法です。

原則として、コホート研究は観察のみで行われます。

 

症例対照研究のエビデンスレベル

ある疾患の発症した患者さんと、その疾患を発症していないが発症した患者さんと年齢や性別などの特徴が一致する人を選び、医療記録などからその疾患の原因を探る研究方法です。

患者さんを症例、患者でない人を対照というため、症例対照研究と呼びます。

 

横断研究のエビデンスレベル

ある対象に対して、疾患などの評価、介入効果などを、ある時点で測定し、検討を行う研究です。

過去や将来など長期間の調査はしません。

この方法の一番のメリットは、時間や金銭的なコストが安い店です。

デメリットとしてはバイアスの影響が大きいことが挙げられます。

 

エビデンスレベルに関するまとめ

エビデンスレベルに関するまとめ

この記事ではエビデンスレベルについて紹介しました。

エビデンスレベルは研究の根拠の強さを示す良い指標ですが、

実際にはよく研究内容を吟味することも必要となってきます。

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