この記事では「出版バイアスとはどんな意味?原因や理由、そして問題点も整理する!」としてお伝えします。
メタアナリシスを実施すると、出版バイアスという言葉に遭遇しますね。
メタアナリシスをちゃんと理解するためにも
- 出版バイアスとはどんな意味?
- 出版バイアスの原因は?
- 出版バイアスがあるとどんな問題点があるの?
ということを整理していきましょう!
出版バイアスとはどんな意味?
出版バイアスはポジティブな結果ほど公表されやすく、ネガティブな結果ほど公表されにくい、というバイアスです。
公表バイアスとも呼ばれることがあります。
つまり、有意差がある結果ほど公表されやすく、有意差がない結果はお蔵入りされてしまう、ということですね。
研究だけでなく一般的な仕事でも、成果が出た時には上司に報告しやすいですが、失敗した時には上司に報告しにくい(失敗を隠してしまう)、という経験をしたことがある方は多いかと思います。
それの研究バージョンだと思っていただければ。
出版バイアスの原因や理由は?どんな問題点があるの?
そんな出版バイアスですが、どんな理由や原因があって発生してしまうのでしょうか?
また、出版バイアスの問題点はどこにあるのでしょうか?
整理していきましょう。
出版バイアスの原因
出版バイアスとなる原因で、考えられるのは3つほどあるかなと思います。
- P値が小さく有意差がある結果が重要だ、という従来の考え方
- 利害関係がある際に、ネガティブな結果は公表しにくい、という可能性がある
- 論文を掲載する側も有効な治療法についての論文を好む可能性
特に、「P値が小さく有意差がある結果が重要だ、という考え」については根深い問題だなと、私自身感じています。
その考えがあることによって、有意でない結果が出ると、研究者自身が投稿をあきらめてしまう傾向があるためです。
また、あまりよい結果がでないと英文の雑誌はあきらめ、自国語で投稿する傾向もあるとの指摘もあります。(英語バイアス)
出版バイアスの問題点
では出版バイアスの問題点はどんなものがあるのでしょうか?
一番の問題点は「ポジティブな結果が多く公表されるため、治療法が過大評価されやすい」という点かなと思います。
それにより、本当は有効ではない(もしくは健康を損なう恐れがある)治療法が多くの人々に暴露される危険性があるからです。
出版バイアスがある場合、メタアナリシスを実施したとしても偏った結果にしかならないため、公平な評価ができなくなります。
出版バイアスはメタアナリシスのfunnel plotで可視化される
出版バイアスがありそうかどうかに関しては、メタアナリシスのfunnel plot(ファンネルプロット)から評価できます。
点が各研究を示していて、下記のfunnel plotでは、左下(オッズ比が小さくてばらつきが大きい部分)の研究結果がないということがわかりますね。
出版バイアスのない理想としては、三角形の中に満遍なく点が入っているプロットです。
ただ、メタアナリシスを実施する上では、理想的なプロットではなくても「今回のメタアナリシスは失敗」ということではないです。
メタアナリシスとしては「ここの部分の研究はないのね」という確認程度でOK。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では「出版バイアスとはどんな意味?原因や理由、そして問題点も整理する!」としてお伝えしました。
- 出版バイアスとはどんな意味?
- 出版バイアスの原因は?
- 出版バイアスがあるとどんな問題点があるの?
ということが整理できたのなら幸いです!
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