データを解析しよう

有害事象・副作用・副反応の違いとは?因果関係の有無が判断の鍵

この記事では「有害事象・副作用・副反応の違いとは?因果関係の有無が判断の鍵」としてお伝えします。

臨床試験や臨床研究を実施していると、有害事象・副作用・副反応のそれぞれの用語を目にすることが多いかなと思います。

その際に「どの用語がどんなことを示しているんだっけ?」と混乱することもしばしば。。

そのため今回の記事では

  • 有害事象とは因果関係を問わない
  • 副作用は因果関係を否定できない
  • 副反応はワクチン接種の場合の副作用
  • 要約する際には件数と例数の違いに注意

ということを整理していきたいと思います!

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有害事象とは因果関係を問わない好ましくない全ての事象

まずは、有害事象について整理していきましょう。

有害事象は、有害事象・副作用・副反応の中で一番大きい概念です。

有害事象の定義はこちら。

臨床研究・臨床試験において生じた、参加者にとって好ましくないありとあらゆる事象のこと

「因果関係を問わない」ことが最も大きな特徴です。

例えば、

  • 風邪をひいた
  • 転んで足を骨折した
  • 頭痛が発生した
  • 筋肉痛が発生した
  • etc

これら全て、被験者にとっては好ましくない事象ですよね。

因果関係があろうとなかろうと好ましくない事象が発生した時点で「有害事象が発生した」となります。

英語だとAdverse Event(AE)と記載されますね。

 

副作用は因果関係を否定できない有害事象

副作用は、有害事象の中で「因果関係が否定できない」事象のこと。

なので、下記のようなイメージです。

ただし、副作用という言葉は「医薬品を使っている場合」の言い方です。

ワクチンの場合は後述する「副反応」を使います。

 

通常、臨床試験では、全ての有害事象に対して因果関係のデータを取得しています。

因果関係の判定基準は試験実施計画書(プロトコル)で規定するのですが、例えば、「確実に関係あり、たぶん関係あり、可能性あり、たぶん関係なし、関係なし、不明」という分類データを取得します。

この中で「関係なし」以外の事象は副作用とする、というように、副作用の定義もプロトコルもしくは解析計画書に規定します。

 

副作用は英語だとAdverse Drug Reaction(ADR)と記載されますね。

 

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副反応はワクチン接種の場合の副作用

副反応はワクチン接種に対する、有害事象の中で「因果関係が否定できない」事象のこと。

そのため、イメージは副作用と同じです。

なぜ「副作用」と「副反応」が言葉として使い分けられているかは、私としては不勉強でわかりません。。

(誰か教えてくださいませ!笑)

おそらくワクチンは「免疫反応」を期待するので「反応」という言葉を使うのか?と推測しております。

 

要約する際には件数と例数の違いに注意

有害事象・副作用・副反応の違いについて整理できたかなと思いますので、次に有害事象・副作用・副反応の解析の仕方について解説します。

有害事象・副作用・副反応の解析に関して注意したいのは、「例数」と「件数」の違い。

詳しくは「例数と件数の違いは?有害事象や副作用報告で使われる2つの数値の意味」という記事を見ていただきたいのですが、少しだけこの記事でも整理しておきます。

 

有害事象・副作用・副反応の解析で重要な例数と件数の違い

例数と件数の違いを有害事象で考えてみましょう。

Aさん、Bさん、Cさんの3人がいて、試験中に以下のように有害事象が発生したとします。

この時、「頭痛」という有害事象はAさんとBさんに起こっているため、2例に発現しています。

そしてAさんは頭痛を1回、Bさんは頭痛を2回発現しているため、3件発現したことになります。

そして「風邪」はAさんにだけ1回発現しているため、1例1件の発現、という数え方です。

そのため今回の例だと、以下のような数え方になります。

  • 有害事象の発現は2例4件
  • 頭痛の発現は2例3件
  • 風邪の発現は1例1件

そのため、例数は「その有害事象を発現したかどうかの有無」を数えていることに相当し、件数は「その有害事象を発現した回数」を数えていることに相当することがわかります。

 

有害事象・副作用・副反応の実際の解析を見てみる

例数と件数の違いがわかったところで、実際に論文の表を見てみます。

下記の表を見ると、件数と例数をどちらも要約していることがわかります。

「Total no. of AE」が件数を示していて、「Patients with ≧1 AE」が例数を示しています。

(引用:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606490)

 

上記からもわかる通り、例数では「割合(%)」を計算することができますが、件数では割合を計算することはできません。

 

まとめ

いかがでしたか?

この記事では「有害事象・副作用・副反応の違いとは?因果関係の有無が判断の鍵」としてお伝えしました。

  • 有害事象とは因果関係を問わない
  • 副作用は因果関係を否定できない
  • 副反応はワクチン接種の場合の副作用
  • 要約する際には件数と例数の違いに注意

ということを整理できたのなら幸いです!

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