この記事では「Cox比例ハザードモデルをわかりやすく解説!生存時間解析での多変量解析!」ということでお伝えします。
- Cox比例ハザードモデルは生存時間解析における多変量解析
- 比例ハザード性が重要
- Cox比例ハザードモデルの結果はハザード比
- 論文でもハザード比とその95%信頼区間の推定のために使われる
といったことが理解できるようになりますので、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
Cox比例ハザードモデルとは?共変量を考慮できる解析をわかりやすく解説
Cox比例ハザードモデルとは、生存時間解析で使われるモデル解析です。
生存時間解析とは、「あるイベントが発生するまでの時間」をアウトカムにした時に使われる解析のこと。
三種の神器、とまでは言わないですが、生存時間解析ではこの3つは必ず理解すべき内容です。
- ログランク検定
- カプランマイヤー曲線
- Cox比例ハザードモデル(Cox回帰)
ログランク検定とカプランマイヤー曲線はこちらの記事をご参照ください。
Cox比例ハザードモデルはモデル解析なので、共変量を考慮できる多変量解析です。
そのため、「Cox比例ハザードモデル=生存時間解析での多変量解析」とイメージしていただければOK。
ではちなみに、生存時間解析じゃない時のモデル解析は?と言われたらすぐに出てきますか?
- アウトカムが連続変数の時:重回帰分析(共分散分析)
- アウトカムがカテゴリカル変数の時:ロジスティック回帰分析
なので、ぜひ整理しておきましょう!
Cox比例ハザードモデルでは比例ハザード性が重要
Cox比例ハザードモデルを使う際に重要な知識としては、「比例ハザード性」があります。
そもそもハザードというのは、「単位時間あたりのイベント発生率」のこと。
そのハザードを群間比較しようとすると、ハザード比を使います。
そして比例ハザード性というのは、「2群間のハザード比が時間に限らず常に一定であること」を指します。
以下の場合のカプランマイヤー曲線は比例ハザード性が成立しています。
「薬を使った群が使っていない群よりも常に生存率が1.5倍だった」
反対に、以下の場合は比例ハザード性が成立していません。
「薬を使った群と使っていない群で、最初は生存率に差がなかったが、12ヶ月後以降は差がみられるようになった」
この場合、最初はハザード比が1倍でしたが、12ヶ月以降あたりからハザード比がかなり大きくなっています。
この場合ハザード比は時間によらず一定ではないので、比例ハザード性は成立しないのです。
Cox比例ハザードモデルの結果はハザード比を見る
Cox比例ハザードモデルは、生存時間解析でのモデル解析(多変量解析)であることがわかりました。
そして、Cox比例ハザードモデルを使う際には「比例ハザード性」が重要だということも理解できましたね。
その上で次に、Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果の見方を学んでいきましょう。
早速ですが、EZRでCox比例ハザードモデルを実施した場合、下記のような結果が出てきます。
- ハザード比
- ハザード比の95%信頼区間(信頼下限と信頼上限)
- P値
の3つが出力されていることがわかりますね。
つまり、Cox比例ハザードモデルを実施した場合、メインとなる結果はハザード比である、ということです。
ハザード比の結果の見方は、リスク比やオッズ比との結果の見方と同じです。
比なので、分子と分母が同じ値であれば1になります。
つまり、ハザード比が1であれば群間差がない、1から遠ければ群間差あり、というような見方ですね。
Cox比例ハザードモデルが多変量解析として論文で使われている例
では最後に、論文でCox比例ハザードモデルが使われている例をみていきましょう。
生存時間解析では、「ログランク検定」「カプランマイヤー曲線」「Cox比例ハザードモデル」の3つは必ず理解しておく必要がある通り、生存時間解析の論文ではCox比例ハザードモデルは大抵使っています。
例えば、こちらの論文。
Methodを見ると以下のような記載があります。
「ハザード比と95%信頼区間を推定するためにCox比例ハザードモデルを使った」とあるので、まさに今までみてきたことですね。
そして結果の表としては、以下の通りになっています。
- ハザード比
- ハザード比の95%信頼区間
- P値
と、EZRでCox比例ハザードモデルを実施した場合と同じ結果が論文に記載されています。
Cox比例ハザードモデルを使った論文では、これぐらいの結果を記載すればOKということですね。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では「Cox比例ハザードモデルをわかりやすく解説!生存時間解析での多変量解析!」ということでお伝えしました。
- Cox比例ハザードモデルは生存時間解析における多変量解析
- 比例ハザード性が重要
- Cox比例ハザードモデルの結果はハザード比
- 論文でもハザード比とその95%信頼区間の推定のために使われる
といったことが理解できたのなら幸いです!
Cox比例ハザードモデルの特殊バージョンに、時間依存性の共変量を考慮したCox比例ハザードモデルもありますので、必要でしたらこちらのページもご覧ください。
こちらの内容は動画でもお伝えしておりますので、併せてご確認くださいませ。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] >>Cox比例ハザードモデルとは? […]
[…] 結果の解釈などは原著を見ていただければと思いますが、通常のCox比例ハザードモデルの解釈の仕方で問題ありません。 […]