この記事では「後ろ向き研究サンプルサイズは必要?論文への記載方法はどうする?」としてお届けいたします。
サンプルサイズ計算が重要なのは知っているんだけど、それって後ろ向き研究でも必要なのだろうか…??
と、疑問に思うこともありますよね。
そのため本記事では
- 後ろ向き研究でもサンプルサイズは必要か?
- 後ろ向き研究でもサンプルサイズもしくは検出力計算しておいた方がいい
- 後ろ向き研究のサンプルサイズ計算は論文に記載すべきか?
ということでお伝えしていきます!
後ろ向き研究でもサンプルサイズは必要か?
日々多くの質問をいただいているのですが、最近は「後ろ向き研究でもサンプルサイズ計算は必要でしょうか?」という質問をよくいただきます。
なぜこのような質問がくるのか?を考えると、後ろ向き研究ではすでにデータは「決まっている」のでわざわざサンプルサイズ計算をしなくていいのでは?、と考えていらっしゃるのかなと思います。
推定精度を考えればわざわざデータを少なくしなくていいし、多くすることは当然できない。
だったら後ろ向き研究でサンプルサイズ計算することは必要なのだろうか?
ということですよね。
そもそもサンプルサイズ計算をする目的を考えると、「研究目的を達成できるように過不足なくデータを取り、 効果があるかまだわからない治療に過剰に暴露させるのを防ぐ」ということが重要なことの一つ。
これを考えても、後ろ向き研究でサンプルサイズ計算は絶対に必要といえないのでは?と考えられますね。
後ろ向き研究でもサンプルサイズもしくは検出力計算しておいた方がいい
「後ろ向き研究でもサンプルサイズは必要か?」に対してYes/Noの2択なら、必ずしも必要ではないかな、と思います。
ですが個人的な考えを述べると、「後ろ向き研究でもサンプルサイズもしくは検出力計算しておいた方がいい」とは思うんです。
というのも、研究をやるのであれば、予め「得たいと考える臨床的に意味のある結果(群間差)」というのがあるはず。
その得たいと考える臨床的に意味のある結果に対して今回の研究で使用できるサンプルサイズが
- 過剰にサンプルサイズが多くないか?
- どれだけ頑張っても有意差でないほど少数例じゃないか?
ということを手元で把握しておくだけでも重要な情報になるからです。
例えば研究結果を上司に報告する場合を考えても、「差がありそうなのになぜ有意差でてないの?」と聞かれるのはあるあるネタですよね。
その際に「サンプルサイズが足りなかったからです」と、実際のサンプルサイズ計算の結果を基に提示できればスマートじゃないでしょうか。
後ろ向き研究でもサンプルサイズ計算をしていれば考察がしやすい
Q:「差がありそうなのになぜ有意差でてないの?」
A:「サンプルサイズが足りなかったからです」
というやりとりは、そのまま学会発表や論文投稿の際の考察にも使えます。
結果の有意差だけに着目してしまうと、「有意差がなかった。。論文化できないかも。。」となることもあるかもしれませんが、サンプルサイズが足りなかっただけであれば考察次第で論文化の可能性もありますからね。
>>有意差がないときの論文考察の書き方は?p値が大きいときに何が言える?
後ろ向き研究のサンプルサイズ計算は論文に記載すべきか?
後ろ向き研究であっても、手元で確認するためにサンプルサイズや検出力を計算することが重要であることは分かりました。
ではその計算結果を論文に記載すべきなのでしょうか?
個人的には、研究は計画が大事だという立場なので、場当たり的な研究ではないんだよ、というのをアピールできるのに良い記載かと思うんです。
しかし、統計にそれほど明るくないレビューワーに当たってしまうと「サンプルサイズ計算した結果より症例数が多いのはなぜだ」と藪蛇になる可能性も出てきてしまいます。。
なので、最初はサンプルサイズ計算のことは書かずに、レビューワーからの指示があった時に記載すればいいのでは、と思います。
後ろ向き研究でのサンプルサイズに関してMethodへの記載例
例えば、こちらの論文の記載はとてもスマートかなと思います。
この論文は後ろ向き研究ではないのですが、事前にサンプルサイズを計算していないという点では後ろ向き研究のMethodの記載例として使えるかなと。
最初に「サンプルサイズ計算はしていない」と明言するのが潔いですよね。
その上で、事後的な検出力を提示しています。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では「後ろ向き研究サンプルサイズは必要?論文への記載方法はどうする?」としてお届けいたしました。
- 後ろ向き研究でもサンプルサイズは必要か?
- 後ろ向き研究でもサンプルサイズもしくは検出力計算しておいた方がいい
- 後ろ向き研究のサンプルサイズ計算は論文に記載すべきか?
ということが理解できたのなら幸いです!
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