医学論文の読み方書き方

医学論文の効率的な読み方!PICO・PECOを確認することが最も重要

  • 医学論文を初めて読むけど、どう読めばいいの・・・?
  • 医学論文を効率よく読むにはどうしたらいいんだろう・・・
  • 医学論文は結局どこを重点的に読めばいいの?

もしかしたらあなたは、このような悩みを持っているかもしれませんね。

医学論文には一見難しそうな統計の結果が多くあるし、すぐに眠くなる。。

私もそんな悩みを持つ一人でした。

 

でも統計に関する知識を得て、医学論文の読み方のコツを把握したら、とても効率的に論文を読むことができるようになりました。

ということで今回の記事では、実際の医学論文を題材にして、その中で使われている解析手法や解析の用語を説明していきます。

また、どんなポイントを把握すればすらすらと読むことが出来るのか、という医学論文の読み方を解説していきます。

 

医学論文を読む目的は何?


まず大切なのは、「なぜあなたが医学論文を読む必要があるのか?」という目的を明確にすること。

例えば「最新の知見を得たい」ですとか「いま担当している患者さんに最適な治療法を得たい」という目的があるはず。

もし「最新の知見を得たい」ということが目的であれば、「どこが最新の知見なのか?」そして「最新の知見は今までと何が違うのか?」を把握できればいいことになります。

それ以外の情報は不要ですよね。

そのため、医学論文から情報を取捨選択するためにも、まずは“医学論文を読む目的”を明確にする必要があります。

 

実際に医学論文を読んでみましょう

ということで、医学論文を読む目的が整理出来たら、実際に論文を読むことになります。

今回の記事で題材にする論文はこちら。

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1804988

 

この論文では、糖尿病患者さんに対してアスピリンもしくはプラセボを投与した際の、有効性と安全性を確認する試験結果が報告されています。

この論文を選んだのは以下のような理由です。

  • NEJMという、信頼できるジャーナルから出されている論文である
  • 実薬とプラセボの1:1割付の試験であり、シンプルである
  • 糖尿病という、一般的になじみのある病気に対する試験のため、イメージしやすい
  • 多くの解析手法やグラフを使っており、統計の題材としては面白い
  • Etc・・・

 

この論文を理解することができれば、あなたもきっと統計を深いレベルで知ることができます。

ぜひ一緒に学びましょう。

 

医学論文を読むのに最も重要なこと:PICO・PECOを確認する

医学論文を読むのに最も重要なことは、PICO・PECOを確認することです。

PICO・PECOを正確に確認することが出来れば、その論文の半分以上の情報を得たといっても過言ではありません。

そのため、ぜひともPICO・PECOを確認する習慣をつけましょう。

 

ところでPICO・PECOって何のことか知っていますか?

初めて目にしたよ、って方も多いかもしれませんね。

それぞれ4つの単語の頭文字をとっています。(以下、PICOに統一しますね。)

PICO/PECOとは?

P:Patient(対象患者)

I / E:Intervention / Exposure(暴露 / 投与)

C:Comparison(比較対象)

O:Outcome(アウトカム)

 

つまり要約するとこういうことですね。

「どういった患者に対して、何を投与し、どんな対象と比較して、何をアウトカムにしているか」

これを意識する必要があるということです。

 

なぜこれを最初に意識するとよいのでしょうか。

それはこのような理由があるからです。

「PICOを把握することで結果をある程度予想できるため、論文を素早く正確に読むことができる」

 

臨床試験、臨床研究の論文は、結局のところ以下のような構成です。

  • 既存の調査では、この部分がまだわかっていないよね、という問題提起(Backgroundの章)
  • AとBを比較して、アウトカムをこのように設定した。(Methodの章)
  • ご覧の通りの結果から、A(もしくはB)が統計的に有意になった(もしくは有意にならなかった)。(Resultの章)
  • その理由は以下の通りである。(Discussionの章)

 

なので、PICOを確認することができれば、あとはどっちが勝って、その考察はどうなんだろう、ということに意識をして論文を読めばOKになります

・・・言うのは簡単ですよね。

 

とりあえず、早速論文を読んでみましょう。

 

PICOを把握:この論文のPatientは?

では早速PICOを確認していきましょう。

最初はPatientの確認ですね。

 

対象患者は、たいていMethodに記載があります。

この論文でも、当然のようにMethodに記載がありました。(3ページ目の左上です)

 

Men and women at least 40 years of age were considered to be eligible if they had received a diagnosis of diabetes mellitus (any type) and did not have known cardiovascular disease and if there was substantial uncertainty about whether antiplatelet therapy would confer worthwhile benefit. Key exclusion criteria were a clear indication for aspirin or a contraindication to aspirin or the presence of other clinically significant conditions that might limit adherence to the trial regimen for at least 5 years. All the participants provided written informed consent.

 

これを読むと、糖尿病であれば誰でも良い、という試験ではなさそうですね。

40歳以上の患者さんしか入っていない試験で、しかもCVイベントを発症していない患者さん限定です。

Any typeと書いてありますので、2型か1型か、というのは問題視していないみたいですね。

つまり裏を返すと、30代の患者さんだったり、CVイベントの経験がある患者さんに対しては、この論文の結果を当てはめられるかは分からない、ということです。

また、アスピリンに禁忌の患者さんだったり、この臨床試験のレジメンを5年以上継続できないと見なされれば、試験には入ることができないとなっています。

 

PICOを把握:次はInterventionとComparison!

対象となる患者さん(Patient)がわかったところで、次はIntervention(介入しているもの)とComparison(比較対象)を確認します。

 

we then assigned eligible participants to receive 100 mg of aspirin once daily or a matching placebo tablet; participants were also assigned to receive 1-g capsules containing n−3 fatty acid once daily or a matching placebo capsule.

 

タイトルにもあった通り、Interventionはアスピリンです。

で、比較対象はプラセボ(Placebo)ですね。

 

気になるのはその次の文章。

n−3 fatty acidの実薬とプラセボを投与??

これって、「アスピリン / プラセボ」「n−3 fatty acid / プラセボ」の2*2で4群の試験か?という疑問が起こりました。。

ということで、Supplemental informationを確認。

 

すると予想通り、途中は4群みたいな構成になっています。

で、その後にアスピリン群とプラセボ群の2群になっています。

この途中の4群がどういう理由で設定されたかは、他のところを読まなければ詳細には分かりません。

ですが、アスピリン群とプラセボ群ではn−3 fatty acidを投与されている人がそれぞれ同じ数なので、とりあえず無視してアスピリン群とプラセボ群の2群として解析結果を読み進めてもよさそうです。

 

P.S. このn−3 fatty acid の投与に関してなぜ設定されているのかが疑問でしたが、本論文と同日に以下のような論文を同じ研究チームが出しております。

実際にこの試験は、糖尿病患者に対してアスピリンがどう作用するかに加え、n−3 fatty acidがどう作用するか、という2つの目的を持った試験であることがわかりました。

ということで、本論文については、n−3 fatty acidを無視してアスピリンだけに着目すればよいことに確信を持ちました。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1804989

 

PICOを把握:最後はOutcomeを確認する!

そしてPICOの最後のOutcomeです

これは、アブストラクトを読んだほうがわかりやすいですね。

 

The primary efficacy outcome was the first serious vascular event (i.e., myocardial infarction, stroke or transient ischemic attack, or death from any vascular cause, excluding any confirmed intracranial hemorrhage). The primary safety outcome was the first major bleeding event (i.e., intracranial hemorrhage, sight-threatening bleeding event in the eye, gastrointestinal bleeding, or other serious bleeding).

 

有効性に関しては、初回の重篤な心血管イベントの発生。

安全性に関しては、初回のメジャーな出血イベントの発生。

 

このアウトカムを見れば、解析手法が何となく分かります。

「初回の(first)」とあるので、恐らくイベント関連の解析、つまり生存時間解析をやっているのかな、という予想ができます。

生存時間解析は、がん領域だけに使われる解析手法ではないため、どの疾患領域を担当する人であっても、知っておきたい解析手法ですね。

>>生存時間解析とはどんな解析手法?

>>JMPで生存時間解析を実施する方法!

 

先回りしてStatistical analysisを読むと「We used log-rank methods」と書いてありますので、やっぱり生存時間解析をやっているということがわかります。

 

まとめ

医学論文を読むのに重要なことは、「医学論文を読む目的を明確にする」ということ。

そうすれば、その論文から情報を取捨選択することが出来ます。

そして実際に医学論文を読むために重要なことはPICO・PECOを確認することです。

PICO・PECOを正確に確認することが出来れば、その論文の半分以上の情報を得たことになります。

 

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  • パソコンに向かってもなぜか筆が進まない…
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