NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?

NNTに関するブログ記事

この記事では「NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?」ということでお伝えします。

  • NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?計算式や求め方
  • NNTは医療においてどんな意味があるのか?
  • NNTの目安はある?

といったことをわかりやすくお伝えしますね!

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目次

NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?計算式や求め方

まずはNNTに関して整理しましょう!

結論からいうと、NNTとは「対照群の効果に対して、興味ある治療効果の上乗せ分が1例に観察されるには、その治療を何人の患者に用いなければならないか」を示している数値です。

ですが、この言葉だけ見ても「あまりよくわからない…」って感じですよね。。

そのため、数値例を出した方がわかりやすいと思いますので、次の章で数値例で見てみますね。

 

NNTの求め方

NNTを計算する上で重要なのは「リスク」の考え方です。

そのためNNTも、分割表の解析の一つ、と言えますね。

リスクを考える必要があるということは、NNTは前向き研究で計算可能ということ。

 

リスクとオッズの違いに関しては、こちらの記事をご参照ください^^

>>オッズ比とは?わかりやすく相対危険度(リスク比)との違いや計算法を簡単に解説!

 

リスクを使った解析として通常よく目にするのは、相対リスク(リスク比)です。

しかしリスク比には一つ問題点があります。

例えば死亡に対するリスク比が「リスク比50%」である場合、

  • 10%対5%でも
  • 1%対0.5%でも

同じように50%と表される点。

つまり、臨床上はわずかな差であっても大きな数字に置き換えることが可能になってしまうのです。

そのための解決策として、リスク差(絶対リスク減少率(absolute risk reduction:ARR))を基にしたNNTの計算が提案されています。

リスク差は下記のような分割表があった時に、{C/(C+D)}-{A/(A+B)}で示される値です。

 

イベントあり イベントなし 合計
実薬群 A B A+B
コントロール群 C D C+D
合計 A+C B+D A+B+C+D

 

そしてNNTはリスク差の逆数、つまり、1/リスク差で計算可能です。

 

NNTは医療においてどんな意味があるのか?

NNTの求め方がわかったところで、NNTの医療における意味を考えていきます。

まず初めに、NNTの計算の元となるリスク差。

リスク差は、興味ある治療法が対照群よりもどれだけの上乗せ効果があるか?を示しています。

であれば、その逆数であるNNTは「上乗せ効果を1例観察するのに、何人に治療を受けてもらう必要があるか?」を示していることになります。

 

なんとなく分かるような分からないような、、という感じかもしれないので、数値で確認してみましょう。

下記のような治療があったとします。

イベントあり イベントなし 合計
実薬群 4 96 100
コントロール群 10 90 100
合計 14 186 200

この時、

  • 新規治療群のリスク:4%
  • コントロール群のリスク:10%
  • リスク差:6%

ですよね。

この時のNNTを計算すると、1/0.06=16.7、となります。

つまり、新規治療での上乗せ効果を1人に観察するのに、16.7人の治療が必要、ということになるのです。

効果の良い薬ほどNNTは小さくなります。

 

NNTの意味を吟味してみる

上記の例では、新規治療群に対して6%(6名)に上乗せ効果がありました。

逆に言えば、94人は新規治療をしてもしなくても結果に変わりはなかった、という言い方もできます。

これをみると、治療に無駄が多いのでは??と感じられるかもしれません。

しかし、重要な視点は「誰に対して効果があるか事前には分からない」ということ。

そのため、全員に治療せざるを得ない。

でもNNTが小さければ、治療効果が出る割合はとても高くなるので、その目安にNNTという指標が使われている、ということです。

 

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NNTの目安はある?

NNTの意味がわかると、次に「NNTの値に一般的な目安はあるの?」ということが気になるかもしれません。

しかし、NNTは治療する疾患領域や、エンドポイントに左右されるので「これ以下である必要がある」といった目安はないですね。

ただ、報告例は多数あります。

  • 脳卒中予防のための5年間の高血圧薬:NNT=67
  • 心臓病の再発予防のための5年間のコレステロール薬:NNT=39
  • 高齢者の骨折予防のビタミンD:NNT=36

 

まとめ

この記事では「NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?」ということでお伝えしました。

  • NNT(Number Needed to Treat:治療必要数)とは?計算式や求め方
  • NNTは医療においてどんな意味があるのか?
  • NNTの目安はある?

といったことが理解できたのなら幸いです!

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